「顎のコリ」が肩コリや腰痛など全身の不調につながる

NEWSポストセブン / 2019年7月5日 7時0分

肩こりや腰痛はあごのせいかも

 近年、あごを巡る健康トラブルが増えている。厚労省『歯科疾患実態調査』(2016年)に基づいた推計によれば「口を開くときに“カクッ”といった音が鳴る」「痛みを感じる」などの症状を抱える「顎関節症」の患者数は推定1900万人とされる。

 歯科医らが組織する日本顎関節学会も2018年に『顎関節症治療の指針』と題する治療ガイドラインを初めて作成した。その内容は、6月12日放送の『ガッテン!』(NHK総合)でも紹介され、顎関節症の原因はあごの筋肉の“こり”であると解説、大反響を呼んだ。

 この、“あごのこり”に注目することが重要なのは、その影響が「肩」や「腰」など、他の部位にまで及ぶからだ。

 顎関節症治療の第一人者で、元東京医科歯科大学歯学部附属病院顎関節治療部部長の木野孔司・歯科医師はこう解説する(以下、「」は木野氏)。

「あごの筋肉が緊張すると、側頸筋や僧帽筋など首から背中にかけて広がる筋肉がつられて緊張し、肩こりを発症します。また、これらの筋肉の緊張状態が続くと、交感神経が優位になり、血流が悪くなって腰痛や頭痛、疲れ目を発症します。

 そうして生じている痛みやこりは、患部を直接ほぐすのではなく、『あごの筋肉』の緊張を解消することで取り除けるのです」

◆「マウスピース」が効かない

「あごのこり」が生じるメカニズムとはどのようなものなのか。

「TCH(上下歯列接触癖)によって起こります。これは、無意識のうちに上下の歯を長時間接触させてしまう癖のことです。

 上下の歯は離れているのが正常です。しかし、上下の歯が接触することで『側頭筋』と『咬筋』という2つの噛むための筋肉が緊張してしまいます。これらの筋肉の緊張状態が長く続くと、顎関節症を発症し、痛みが生じたり異音が鳴ったりするようになる。上下の歯が軽く触れ合うだけでもこれらの症状は起こりますから、当然、歯を食いしばってしまうと症状は悪化しやすくなります」

 これまでは、あごのこりの主な原因は「咬み合わせ」だとされていた。そのため、マウスピースを用いた「咬み合わせ治療」を勧める歯科医が少なくなかった。

「しかし、咬み合わせを治してもあごの痛みが消えないどころか、かえって悪化するケースが少なくなかった。そこで私は、500人以上の顎関節症患者を集めてその原因を分析してみたところ、咬み合わせではなくTCHが原因の大半を占めるという結論に辿り着いたのです。

 この結果は2006年に発表し、今や欧米にも浸透しつつあります。しかし日本では、歯科医であっても顎関節症の専門家でなければ、TCHが原因だということを知らないのが現状です」

※週刊ポスト2019年7月12日号

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