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秋の新米をより深く味わうための「コメのおいしい炊き方」伝授

NEWSポストセブン / 2012年9月19日 7時0分

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日本の家庭の炊飯技術は世界一

 おコメが美味しい季節がやってきた。しかし意外と知らないのが、その上手な炊き方だ。ちゃんと手順を踏んで丁寧にやれば、見違えるように美味くなる。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が、家庭でもできる上手な炊き方を伝授する。

 * * *
 先日の本稿で「国民一人当たりのコメ購入額、パンに抜かれる」というニュースを受けて、「日本の家庭における炊飯技術は世界一で、それ自体文化である。米のピンチだ」と(いうようなことを)書いた。すると、思わぬ角度からお叱りを頂いてしまった。

「そこまで言うなら、コメのおいしい炊き方をなぜ書かないのか」

 ……。仰るとおり。なんという不手際!そこで、今回は日本の炊飯文化を勝手に応援キャンペーン第二弾として、「家での旨いコメの炊き方」に触れておきたい。

 日本における炊飯の手順を整理すると「研ぎ」→「浸水(吸水)」→「炊く(煮る)」→「蒸らし」となる。

 まずは「研ぎ」。最近のコメは精米技術の発達により、昔ほど「研ぐ」必要はないと言われる。とはいえ、貴重な秋の新米を味わうなら、ヌカくささは徹底的に排除したい。大切なのは最初の工程だ。精米直後から酸化が始まるヌカの匂いを、いかにコメに移さず、ヌカ自体をそぎ落とすか。よく「最初の数回の研ぎ汁を、すぐに捨てるべし」と言われるのは、乾燥状態にある精白米にヌカ臭の強い研ぎ汁を吸収させないためなのだ。

 数回水を取り替えたあとの研ぎは、しっかり水が透き通るまで行う。実はこの段階でコメは吸水も同時に行なっている。「米どころ」で供される新米が旨いのは、この段階で吸水した水に左右される面も大きい。米どころはやはり水も旨い。

 そして「吸水」のステップではいったん水からあげておきたい。水に浸けておくということは、米粒の周囲は常に水を吸い続けるということ。中心部が吸水する頃、外側が過剰吸水状態に陥り、炊飯時に輪郭が崩壊したり、ぼやけてしまうリスクをはらんでいる。5~10分洗った後、ザルにあげれば周囲の水分が適度に内部に浸透し、全体に平均的な吸水加減となる。

 万全を期すなら、表面の乾燥を防ぐため、20分ほど経過した時点でザルをあおるように、上下を入れ替えたい。

 そして夏なら30分、冬なら1時間と言われる吸水時間を経て、米粒全体が白くなったら、いよいよ炊飯である。現在、家庭でもっとも上手に炊きやすいのは、「ガスコンロ×土鍋」だろう。土鍋はその熱伝導の特性が炊飯に向いている。ほぼ一定の火加減で約20分(3~4合の場合)で炊飯自体はできてしまう。その後蒸らし時間が必要とはいえ、電気炊飯器に比べて圧倒的に早いのだ。

 もし電気炊飯器を使うなら、「きちんと吸水×早炊き」を目指したい。一般に炊飯器の「通常炊飯」モードにはコメを吸水させるような温度管理が含まれている。一方、「早炊き」モードは、「単に炊くだけ」に近い。だがきちんと吸水させたコメなら、そのほうがいい。一気に炊き上げ、10~15分蒸らせばそれで十分旨いコメに巡り合える。

 この秋も、友人の実家の農家で行われる収穫のお手伝いに行ってきた。現代の日本の農家でも、稲を刈り、乾燥させ、脱穀し、袋詰をするのはほとんど機械ではある。だが、確実にそこに人の手は介在する。出荷時に30kgの米袋を担いで倉庫に運び、トラックに積み込む、そして荷降ろしするのは間違いなくヒトの手である。

 新米の季節だからこそ、ぜひ一度、人の手できちんと炊いた米がどれほど違うものか、試して頂きたい。それは世界に誇る日本の炊飯文化の粋でもある。



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