三代目ホンダ・インサイト 宿敵プリウスより勝っている点は

NEWSポストセブン / 2019年9月8日 7時0分

 絶対性能ばかりではない。一時はユーザーの好みからかけ離れてしまっていたデザインも、落ち着きを取り戻しつつあるように思われた。アメリカモデルの宿命で顔やテールは依然としてビジーだが、全体を見渡すとかなりシックになった。

 全幅はシビックセダンに比べて両側それぞれ10mm大きくなっただけだが、シビックセダンの痩せた印象とはかなり異なる。また、遠くから見ると全高1410mmと、現代のセダンとしては非常に低いルーフを持つことによるフォルムの流麗さもポジティブに感じられた。インテリアも一時のホンダにありがちだったデザイナーのわざとらしい“自己表現”が減り、正統的なものになった。

 これだけの商品力を持っていれば、宿敵プリウスに対して互角以上の戦いを展開ができても良さそうに思えるのだが、残念ながらプリウスに大きく負けているところがある。それはトータルバランスと作り込み。要するに、クルマとしてのまとまりがいまひとつなのだ。

 まずは乗り心地および静粛性。インサイトは前述のシビックセダンとクルマの基本部分を共有する形で作られている。よって、シビックセダンくらいの動的質感くらいは持っていていいはずだ。だが、実際にドライブをしてみると、良路では静かで乗り心地も滑らかなものの、路面のざらつきが強くなるととたんに室内が騒々しくなる。

 また、うねりの多い路面ではシビックセダンに比べてふわつきが格段に大きく、乗り心地の落ち着きを失う。優れた乗り心地と静粛性を持っている現行プリウスと比べてもかなり見劣りした。

 ハンドリングは絶対性能は出ているが、ドライブフィールの自然さでプリウスに後れを取る。もともと秀逸なシビックハッチバック並みとはいかずとも、せめて車体の仕様が近いシビックセダン並みになっていれば、弱点にはならなかったろうにと惜しまれる。

 このように、せっかく良いところを劇的につかみながら、カーナビが標準装備とはいえ326万1600円~という割高感のある価格設定(アメリカではプリウスとほぼ同価格で販売されている)もあり顧客を取り逃がしている感の強いインサイト。もともとホンダはインサイトの販売目標を月間1000台と極めて低く見積もっていたが、実績はその目標をさらに下回り、今年上半期は月平均1000台を割ってしまっている。プリウスとの販売スコア差は10倍以上だ。

 しかし、一方で電動パワートレインの技術水準という点では、トヨタを本格的にキャッチアップしつつあるということも如実に感じられた。

 もともと2モーターのi-MMD搭載車は今登場したわけではなく、ホンダは2リットルエンジンと最高出力135kW(184ps)の電気モーターを組み合わせた強力版を中型セダン「アコード」や、ミニバンの「ステップワゴン」などに展開し、少しずつ搭載実績を積み上げてきた。インサイトで登場した1.5リットル版は今後、「フィットハイブリッド」などのサブコンパクトクラスにも幅広く搭載される予定だという。

 また、インサイトにしても販売価格が拮抗しているアメリカでは日本ほどの販売台数の差は見られず、直接対決で相手にされないというかつての状態からは脱しつつある。ハイブリッドの世界王者トヨタとチャレンジャーであるホンダの戦いの行方が興味深い。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング