米で増える「服をわざと小さく表記する商法」 日本では?

NEWSポストセブン / 2019年9月26日 11時0分

新手の販売方法に要注意!?(イラスト/なかおみちお)

 アメリカのファッション業界で最近使われている「バニティー・サイジング」という言葉をご存じですか――。バニティーとは「虚栄心」のこと。スリムでありたいと願う女性心理に乗じて、本来のサイズより小さなサイズ表記をして購買意欲をあおるのが「バニティー・サイジング」だが、この流れ、日本にも…!?

 OLのA子さん(34才)がアメリカ旅行で、あるファッションストアを訪れた時のこと。ふだん11号サイズを着ている彼女が、いつも通り11号のドレスを手に取って試着してみると、なんだかユルユル。(あれっ、やせたのかな?)と思っていると、女性店員が現れて、「お似合いですよ。でも、ちょっと大きいようですね。あなたなら8号でもよさそうですね」と微笑んだ。スリムな自分をほめられたような気分になったA子さんは、(せっかくだから、この際!)ともう2着購入したという。

 ところが、帰国後にあらためてサイズを確認してみると、それらのドレスは、A子さんが持っている「11号」サイズとほぼ同寸。頭の中に???が渦巻いたA子さんが、ファッションに詳しい友人に聞いてみると、「バニティー・サイジング」のことを教えてくれ、なんだか損した気持ちになったという。

 サイズ表記を意図的に操作して客の気持ちを高揚させ、財布のひもを知らぬ間にゆるめさせようとする「バニティー・サイジング」は、アメリカで最近見られる商法。インターネットでは、メーカーごとにサイズと実寸の“振り幅”が異なっているのを検証するサイトも登場して、消費者に注意喚起を促している。

 本来、「○号」とか「S・M・L」のようなサイズ表記は、基準が統一されているものだと私たちは思っているが、アメリカの一部で見られる「バニティー・サイジング」の波は日本にも及ぶのだろうか?

 そこで、経済産業省国際標準課に聞いてみると、「このようなケースが日本で起こる可能性は極めて低い」と言う。というのも、

「日本には、JISC(※読み方はジスク。日本産業標準調査会のこと)が3万6000人(うち成人女性は約1万1000人)に対して行った、日本人体型調査(※JISCの依頼で人間生活工学研究センターが調査を実施)による膨大なデータを基にしたJIS規格があるからです。

 国内の衣料品におけるサイズ表記の基準は、ほとんどJIS規格が指標となっているといっても過言ではありません。また、JIS規格におけるサイズ表記はすべてヌード寸法(※実際の体の寸法を計測した、商品を作るための基準寸法のこと)を採用しています。製品の生地の素材やデザインによって微妙にサイズが変わってしまう仕上がり寸法に比べ、その名の通り実際の体の寸法を基にしているため誤差は生まれません。これも細かな体型調査の賜物です」。

 日本アパレル工業技術研究会常任顧問の中山悦朗さんもJISCとアパレル業界との関係性についてこう解説する。

「事実、イオンやイトーヨーカドーのようなチェーンストア、大手メーカーのワコールやトリンプも加入している日本ボディファッション協会では、JIS規格を積極的に採用しています。大手メーカーがこれだけ使用しているという事実こそ、信用の表れでしょう」

 このように、日本国内の衣料品業界では、JIS規格によって寸法からサイズ表記まで細やかな配慮がされている。だからこそ、われわれ消費者は安心してショッピングすることが可能になっているのだ。

 少しでもサイズダウンしたい、太った自分よりスリムな自分でいたい、というのが女心ではあるが、海外旅行の際は「バニティー・サイジング」にどうぞお気をつけあれ。

※女性セブン2019年10月10日号

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