文在寅政権の南北融和と反日路線は「韓国の憲法」に根拠あり

NEWSポストセブン / 2019年9月30日 7時0分

容易に分かり合えないのには理由がある(写真/AFP=時事)

 多くの日本人にとって、韓国は何度合意を結んでも大統領が交代するたびにひっくり返す国に映る。一方の韓国人にとって、日本はいつまでも韓国の国民感情を理解しない“傲慢な国”と捉えているのかもしれない。なぜ、そうした齟齬が生まれるのか。韓国の憲法、すなわち「国のかたち」の成り立ちと内容を知ることが、相互理解の第一歩になる。

「大韓民国憲法」の前文はこう始まる。

〈悠久なる歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動によって建立された大韓民国臨時政府の法的伝統と、不正に抵抗して立ち上がった四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、正義、人道および同胞愛をもって民族の団結を強固にし(以下略)〉(有信堂高文社刊『世界の憲法集』の尹龍澤・創価大学教授による訳文。以下引用は同書による)

 この前文には韓国を理解する上で重要な3つのキーワードが出てくる。「三・一運動」「四・一九民主理念」「平和的統一」だ。

「三・一運動」は日本統治時代の1919年3月1日に始まった抗日独立運動のこと。「四・一九民主理念」とは李承晩政権時代の1960年4月19日、大統領選の不正をきっかけにした民衆蜂起(四月革命)で、独裁が批判された李承晩大統領を亡命に追い込むきっかけとなった。

 そして祖国の「平和的統一」とは、第2次大戦の結果、分断国家となった南北統一を意味する。日本国憲法の特徴は、世界的には「戦争の放棄」の条項だといわれる。一方、韓国の憲法は、「抗日独立」の精神と「民主化運動」「祖国統一」が理念の柱に盛り込まれているといえる。憲法学者の甲斐素直・日本大学元教授(同大大学院法学研究科講師)が指摘する。

「大韓民国臨時政府は、日韓併合期に李承晩ら独立活動家によって上海に設立されたが、どの国からも承認されず米軍に解体された。世界から認められなかったこの臨時政府の正統性を韓国憲法が宣言していることは、日韓併合そのものを否定していると読むことができる。日韓の歴史認識を巡る対立の根源がここにあるといっていいでしょう」

 この前文の「抗日独立」の精神が、現在に続く反日感情の基礎にあるといえるのではないか。

 文在寅大統領が前のめりになっている南北融和路線も憲法上の根拠がある。日本は、米国と軍事同盟を組む韓国を、北朝鮮の脅威にともに対抗する“準同盟国”であると位置付けていた。

 しかし、文大統領は、日本が貿易管理規定で韓国を「ホワイト国」から除外したことに対し、「南北間の経済協力で平和経済が実現すれば、私たちは、一気に日本の優位性に追いつくことができる」と発言した。

 韓国の憲法を読むと、そうした発言は必ずしも不思議ではない。前文以外にも「平和統一政策」の推進(第4条)を掲げ、〈大統領は、祖国の平和的統一のための誠実な義務を負う〉(第66条3)と定めている。“北朝鮮と協調して日本に対抗する”という文大統領の姿勢は、いわば韓国憲法上の“責務”ともいえるのである。

※週刊ポスト2019年10月11日号

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