刃に粘着物がくっつかないはさみ 開発のきっかけは接骨院

NEWSポストセブン / 2019年10月7日 7時0分

粘着性のあるものがサクサク切れる『パーフェクトバリア』

 刃物の街・岐阜県関市のメーカーが考案したはさみ、『パーフェクトバリア』(刃渡り70mm、重さ81g。3800円。林刃物)が注目を集めている。粘着テープや湿布など粘着性のあるものがサクサク切れるこのはさみ。開発のきっかけとなったのは、社員が通う接骨院の先生の声だった。

『パーフェクトバリア』は、粘着テープやビニールテープ、両面テープ、湿布など粘着性のある素材を刃にくっつけずに切ることのできるはさみだ。開発したのは岐阜県関市にある林刃物。関市は、刀作りに必要な良質な土や松炭、水があることから、鎌倉時代以降、刃物の街として名を上げ、今でも包丁やナイフ、かみそり、はさみなどの産地として全国的に知られている。

 開発のきっかけは、同社の社員が通っていた接骨院の先生から、湿布やテーピング用のテープなど、粘着性のある素材を切るのに苦心しているという相談を受けたことだという。普通のはさみを粘着性のあるものに使用していると、だんだんと切れ味は落ちてしまい、すぐに買い替えが必要になってしまう。切れやすくて長持ちするはさみを作るために、2018年3月に開発がスタートした。

 一般的なはさみは、刃の表面にフッ素コーティングをした後に刃付けを行い、コーティングされていない刃部先端で紙などを切る。それゆえ、刃部先端は非粘着性でないため、粘着物にくっつきやすい。

 そこで、コーティング技術を工夫して、非粘着性の高いはさみを作れないかと考えた。注目したのは、膜厚が超薄い特殊コーティング。それまでフッ素コートのはさみのコーティングの厚さは数十ミクロンだったが、特殊コーティングの厚さはわずか1~3ミクロン。コーティング後も刃先の精度を維持することができるため、刃先までコーティングで覆ってしまっても、切れ味を損なうことなく、非粘着性が高められるのではないかと考えた。

 実際に試作品を接骨院の先生に試験的に半年間使用してもらったところ、湿布やテープを切るのに使い続けた結果、切れ味が劣化することなく快適に粘着性のあるものを切り続けられることがわかった。「一度湿布を切るのにこのはさみを使うと、切れ味が気持ちよくて、ほかのはさみは使えない」と先生のお墨付きももらった。

 粘着テープを切るためのはさみというと用途が限られていて、需要もニッチだと思うかもしれない。しかし、医療関係者のみならず、バレーボールなどテーピングの習慣があるスポーツをやっている人や、日常的に湿布を使っている人など、はさみのベタつきと日々闘っている人にとっては、ストレスなく使える『パーフェクトバリア』は欠かせないものになるだろう。

 刃物の街から生まれた確かな技術をぜひ体感してほしい。

※女性セブン2019年10月17日号

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