日テレが異例の構成のドラマを相次ぎ投入、その事情とは?

NEWSポストセブン / 2019年10月6日 7時0分

『ニッポンノワール』の狙いは、『3年A組』を手がけた福井雄太プロデューサーと脚本家の武藤将吾さんが同作でもタッグを組むという利点を生かし、話題性を高めるとともに『3年A組』ファンへのサービスになるから。視聴者にとっては、「今後さらなるリンクがあるかもしれない」という楽しみがあるのです。

 いずれも、しっかりとした理由や狙いがあるだけに期待できそうですが、日本テレビが異例の構成を仕掛けるのは今秋の3作だけではありません。

◆昨年の大不振とバラエティの好調

 前述した『3年A組』も「1話でほぼ1日」という異例のペースでしたし、先月まで放送された『あなたの番です』も2クール放送という異例の構成の上に、近年激減している長編ミステリーでした。

 さらに言えば、今月1日から『ZIP!』内で放送されている『生田家の朝』も、「約1か月間、毎日放送される民放の朝ドラ」という異例の試み。その内容も、「どこにでもいそうな4人家族の何気ない朝を描く」という他のドラマとは一線を画すものです。

 日本テレビがここまで異例の構成を続けているのは「たまたま」のではなく、「思い切ったものを仕掛けていこう」というムードがあるからでしょう。

 その背景にあるのは、昨年の不振。昨年、日本テレビが手がけるすべてのドラマが全話平均1桁視聴率という想定外の低迷に陥ってしまいました。ただ、バラエティは依然として好調をキープしているため、他局よりもドラマで思い切った策が取りやすいようなのです。

 また、「他局が安定した視聴率を得るために中高年層の好む、刑事、医療、弁護士、科捜研などの60分一話完結ドラマを量産している」という背景も、日本テレビのドラマが「攻めている」という印象につながりました。そもそも日本テレビには「若年層も狙っていく」という方針があり、実際『3年A組』『あなたの番です』にはネット上の反応を意識した仕掛けが満載。若年層にアジャストしたドラマ作りに取り組んだことが差別化となり、話題性だけでなく視聴率も獲得しているのですから成功と言っていいでしょう。

◆唯一の懸念は後出しの「Hulu」

 ここまでは前向きな挑戦が実を結んでいますが、唯一の懸念はHuluとの連動。先月、『あなたの番です』『ボイス 110緊急指令室』の最終話終了後に、Huluで関連コンテンツを配信したことで批判を招いてしまいました。

 問題は、無料で見られる地上波放送の直後に、有料コンテンツのHuluを連動させたこと。視聴者たちは、「有料に誘導するのなら最初から言っておくべき」「後出しするなんてだまされた」「もう日テレのドラマは見ない」などと怒りの声をあげていたのです。

 ここであげた作品が「すべて原作なしのオリジナル」であることからもわかるように、日本テレビのドラマが時間と手間をかけた力作であることに疑いの余地はありません。Huluは日本テレビの系列会社だけに社内事情もあるようですが、せっかくの力作を台なしにしないためのリスクマネジメントが必要でしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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