元刑事が嘆く「ビデオ刑事」の増加と捜査能力の低下とは?

NEWSポストセブン / 2019年10月20日 7時0分

今や事件捜査の主役は防犯カメラ?

 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、昨今の防犯カメラによる捜査の実情をレポートする。

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「最近の若い刑事を、なんて呼ぶか知ってるかい?」

 今年ももうすぐハロウィーン。昨年は渋谷で若者が軽トラックを横転させ、その上にのぼって裸で踊ったり、トラックを損壊させるという事件が起きていた。その時、使われた捜査手法である“リレー方式”について話を聞いていると、警視庁の元刑事がそう問いかけてきた。

 リレー方式とは、現場の映像から容疑者の外見を特定し、周辺の防犯カメラや監視カメラなどの映像をつなぎ合わせ、容疑者の移動方向をたどり、居場所を突き止める手法である。渋谷の事件ではこの手法で4人が逮捕された。今年4月、お茶の水女子大付属中の秋篠宮家悠仁さまの机に刃物が置かれていた事件でも、このリレー方式が用いられ犯人がスピード逮捕されている。今や捜査に欠かせないのが、このリレー方式だ。

 突然そう聞かれても、ピンとくるものがなかった。刑事のあだ名といえば、“マムシの○○”“すっぽんの××”“仏の△△”“落としの□□”などが相場だが、最近の若い刑事に当てはまりそうなものはない。刑事ドラマでは役柄に合わせてニックネームがつけられることもあるが、現場ではほとんど聞かない。

「わかりませんね」と首を傾げると、元刑事は鼻にシワを寄せ、皮肉たっぷりの声でこう言った。

「ビデオ刑事(デカ)って言うんだよ」

「俺たちの時代は事件が起きると、不信人物や車両などを見なかったか、変な音を聞かなかったなどを近所に聞いて回る地取り捜査が基本だった。今は目撃情報を聞いて回るより、まずは防犯カメラを探して回る」

 容疑者につながる情報よりも、容疑者が映っているかもしれない防犯カメラを探して回ることから、彼らをビデオ刑事と呼んでいるという。

「ビデオ刑事は現場周辺に防犯カメラが見つからないと、聞き込みもせずに戻ってくるんだ。『情報を集めてこい!』とハッパをかけても、『映像がなければ証拠にもならないから、聞いて回っても無駄ですよ』と、尻を動かそうともしない。刑事の捜査能力はどんどん落ちるばかりだ」

 映像と映像をつなげるために聞き込みを行っている感じすらあると元刑事は嘆くが、その一方で防犯カメラなしに現在の捜査は成り立たないのも事実だ。

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