窮地のトランプ大統領 ウクライナ疑惑での弾劾、辞任あるか

NEWSポストセブン / 2019年11月6日 16時0分

お騒がせトランプ氏の辞任はあるのか(イラスト/井川泰年)

 10月にCNNが行った、ドナルド・トランプ米大統領への弾劾調査に対する世論調査で、50%の人が弾劾を支持していることがわかった。ウクライナ疑惑をめぐり、トランプ政権はどうなるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。

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 アメリカ連邦議会の下院で、ドナルド・トランプ大統領の「ウクライナ疑惑」に対する弾劾調査が進んでいる。トランプ大統領については、就任当初からロシア疑惑や資産粉飾・脱税、ポルノ女優らへの口止め料支払いなど数々の問題が取り沙汰されてきたが、今回の疑惑では最も窮地に追い込まれているようだ。

 ウクライナ疑惑は、トランプ大統領が7月、来年の大統領選挙で民主党の有力候補になっているジョー・バイデン前副大統領に関する2016年当時のスキャンダルの調査を、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に軍事支援の停止をちらつかせて依頼したとされる問題だ。

 そもそも、今回の疑惑が明るみに出た発端は「ホイッスル・ブローワー(内部告発者)」の存在である。その人物はCIA(中央情報局)職員で、ホワイトハウスに前述の電話記録をコーディングして(プログラム言語に置き換えて)隠蔽するよう命じられたが、それは許されることではないと考え、一部の新聞に情報を提供したのである。

 これに対しトランプ大統領はツイッターで告発者を脅かすような発言を繰り返し、内部告発の内容についても「二次的情報」「間違っている」などと主張している。だが、すでに直接的な情報を持っている2人目の告発者も現われたと報じられ、危機感を強めるトランプ大統領はバイデン前副大統領の「中国疑惑」も持ち出して反撃している。

 しかし、いくらトランプ大統領が抵抗しても、下院は民主党が多数を占めているので、過半数で可能な弾劾訴追の発議は避けられないだろう。過去にアメリカで弾劾訴追のプロセスに入った大統領は1868年のアンドリュー・ジョンソン、1974年のリチャード・ニクソン、1999年のビル・クリントンの3人だ。このうち「ウォーターゲート事件」(民主党本部で起きた盗聴・侵入事件)のニクソンは、上院の弾劾裁判が始まる前に自ら辞任した。

 ただし、ニクソン元大統領の場合は下院でも上院でも与党・共和党が少数だった上、共和党内部の支持も少なかったため、上院で3分の2の賛成が必要な弾劾決議の可決が確実な状況だった。一方、トランプ大統領の場合は、仮に下院で弾劾訴追が発議されたとしても、上院は共和党が多数を握っているので、20人くらいの共和党議員が寝返らない限り、弾劾決議の可決は難しい。

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