0.95秒で起動、0.12秒でAF コンパクトデジカメ絶好調の裏側

NEWSポストセブン / 2012年10月7日 7時0分

 電源を入れてから0.95秒で起動、0.12秒でオートフォーカスも機能する。連続シャッターの間隔は0.26秒。徹底した高速化を図ったカシオのコンパクトデジカメが好調だ。

 2009年、カメラの開発部署に異動して2年目を迎えた西坂信儀氏(QV事業部・42)は、毎秒30枚という高速連写を可能にした『EX-FC100』を世に送り出した。絶対に売れると信じた自信作だった。

 ところが、一部では熱烈に支持されたものの、思うように売れない。西坂はその理由を、家電量販店の販売現場で目の当たりにする。売り場でお客と交わした会話で高速連写に触れたときだった。

「高速連写で30枚撮れたとしても、その中から1枚を選ぶのは面倒だ」

「迷ったら現場に聞け」を信条にしていた西坂には衝撃的だった。悶々とする思いを抱きながら、週末に2人の愛児と公園に出かけ、5歳の長男の、補助輪を外した自転車乗り練習につきあうことに。「補助輪なしで初めて自転車に乗る姿を写真に収めたい」と、ポケットに『FC100』を忍ばせた。

 3歳の長女の様子も気にかけながら、長男の練習具合を見ると、補助輪なしで自転車がよろよろと前へ進み始めていた。初乗りの瞬間を逃すまいと慌ててポケットからカメラを取り出し、電源を入れたが、なかなか起動しない。起動しても今度はシャッターが切れない。やっとの思いでシャッターを切ってはみたものの、写真はブレブレ。再度シャッターを切ろうと思っても、直前の写真の画像処理に時間がかかり、次なる撮影ができない――。

 長男の記念すべき一生に一度のシャッターチャンスを逃してしまった! こみ上げる悔しさ――。失敗したポイントは3つ。

「起動が遅い」 「ピント合わせが遅い」 「タイミングが取りづらく、次の撮影が可能になるまで時間がかかり過ぎる」

 同様の思いを抱いているユーザーはきっと多いはず。カメラ開発担当者としては放ってはおけない。西坂は「真の差別化は本丸にあり!」との考えにいきつく。

 デジカメの機能は年々進化。手ブレ防止や超望遠、笑顔を認識するとシャッターが切れる機能も今や常識化してきている。だが、撮りたい瞬間にきれいな写真を撮れなければ意味がない。本当に強化すべきはカメラのベーシックな機能なのではないかと考えた。

 西坂はカメラに内蔵されたCPU(*注1)と画像処理回路をそれぞれ2個搭載すれば、従来以上のスピードで撮影と高画質処理が実現できるのではないかと考えた。早速、提案した西坂だったが、「そんな方法があったのか」と驚かれつつも「消費電力が上がり、CPUからの発熱が倍増する」と反対意見が大勢を占めた。

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