タケモトピアノ そのユニークなビジネスとCM制作の舞台裏

NEWSポストセブン / 2019年11月17日 16時0分

 自宅療養中の財津氏が取材に答えた。

「ピアノから奏でられる美しい音で救われた人はたくさんいるはずで、私もそのうちのひとりなんです。当時のタケモトピアノは、買い取ったピアノを東南アジアの貧しい小学校などに送るボランティアをしていました。こんなに素晴らしいことはないと、快く引き受けました」

 CM撮影が行なわれたのは、財津氏が脳内出血で倒れて休業していた1997年で、復帰後初の仕事だった。手術で剃ることになった頭髪が伸びず、五分刈り姿だったが、軽妙なステップと歌声を披露した。

 このCMを観た子供がなぜか泣き止む、とメディアで取り上げられたことはよく知られたエピソードだ。

「子供の好きそうな踊りや、口ずさみそうなフレーズを意識しました。それが、赤ん坊の耳に届くと自然と聴き入って、泣き止むようになるという不思議な効果につながったんです。子供に受け入れられるCMは、すべての層に響くと考えていたので、私にとっては想定内の反響でした(笑い)」(北川氏)

 一家の思い出が詰まったピアノが、タケモトピアノの手によって新しく生まれ変わり、今日も世界のどこかで軽やかな音色を響かせている。

●撮影/内海裕之 取材・文/小野雅彦

※週刊ポスト2019年11月22日号

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