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尖閣上陸の中国人グループのパトロンが再上陸の可能性を否定

NEWSポストセブン / 2012年10月17日 16時0分

 尖閣諸島に上陸した中国人グループには“黒幕”がいる。ジャーナリストの相馬勝氏がその人物への取材を敢行した。以下、相馬氏が報告する。

 * * *
「打倒日本軍国主義」「日本は釣魚台(尖閣諸島の中国名)から出て行け」「国恥を忘れるな」。香港の中心部、セントラル地区で、怒号のようなスローガンが高層ビル街に響き渡った。

 満州事変(1931年)のきっかけとなり、中国では「国恥記念日」と呼ばれる柳条湖事件から61周年の9月18日、在香港日本総領事館が入るインテリジェントビル前の広場や歩道には「釣魚台は中国のもの」「9.18事変を忘れるな団結一致 共同抗日」「釣魚台を断固守るぞ」などと書かれた横断幕が所狭しと張られていた。

 その一角には100人以上の市民が24時間体制で座り込み、さらに当日朝から香港の反日団体の活動家数百人が深紅の中国国旗「五星紅旗」を振り回してデモや集会を展開。日ごろは静かな金融・ビジネス街は異様な雰囲気に包まれていた。

 なかでも過激だったのが「香港保釣行動委員会」である。「日本は釣魚島を買う茶番など、軍国主義が復活する徴候を見せている。日本軍国主義が中華烈女から強烈な反撃を受けるのは間違いない。われわれ保釣勇士は日本の侵略行為に最も強烈に反撃する」などと野田佳彦首相宛の抗議文を読み上げ、「可恥(恥を知れ)」と黒々と書かれた日章旗に火をつけ、気勢を上げた。

 香港保釣行動委員会といえば、8月15日の終戦記念日に7人の活動家が尖閣諸島の魚釣島に上陸。待ち構えていた沖縄県警が5人を逮捕した。彼らは起訴されず強制退去処分となったが、香港の空港では「香港保釣勇士」と讃えられ、熱烈に歓迎された。

 その2日後、日本の地方議員らが魚釣島に上陸したことと相まって、彼らの行動は、125都市にまで爆発的に拡大した反日デモのきっかけを作った。

 上陸計画の中心人物で、「阿牛(牛ちゃん)」の愛称で親しまれている曾健成氏は、日本の国会議員に当たる香港立法評議会議員を務めたこともある民主派グループの有力者だが、9月9日の立法評議会議員選挙では落選。いまや香港でも民主派が支持を失っている現実を見せつけた。だからこその愛国パフォーマンスともいえる。

 18日の反日集会は“晴れ舞台”だけに保釣行動委のメンバーたちは意気軒昂で、「20日にも釣魚島に向けて出港し、再び島に上陸する」と爆弾宣言も出た。「死を覚悟し、棺桶を担いでいく」と述べて、過激さを誇示する者もいた。

 ところが、彼らに意外な障壁が立ちふさがった。行動委のパトロン的存在で、財政支援している親中派財界人、劉夢熊・中国人民政治協商会議(政協)委員がその18日に筆者の単独インタビューに応じ、再上陸の可能性をきっぱりと否定したのである。

「私は1996年からこれまで16年間、釣魚台の中国領有運動に関わってきた。400万香港ドル(約4000万円)もの資金を援助してきた。8月の上陸では100万香港ドル(約1000万円)を提供した。

 しかし、今後の再上陸には援助しない。私は彼らに『9月29日は日中国交正常化40周年を迎える。あなたたちの(8月の)上陸によって、両国関係はかなり悪化した。今後は大局をみて両国の関係改善に力を注がなければならない』と伝えて、計画を断念するよう説得した」

 劉氏はさらに、「私は何度も日本に行っているが、軍国主義が復活したと感じたことは一度もない。中国は経済的に世界2位、日本は世界3位だ。両国が対立すれば、香港にも影響が及ぶ。いや世界経済にとって大きな損害だ」と強調した。

「それは、中国政府の意向でもあるのか」との筆者の質問に対して、劉氏は「北京もこれ以上の事態悪化を望んでいないと思う」と答え、再上陸阻止は中国政府の指示であることを示唆した。

※SAPIO2012年11月号



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