政府の最高ブレーン 2030年代原発ゼロ方針は「霞が関文学」

NEWSポストセブン / 2012年10月24日 7時0分

「原発政策を180度変えなければならない」

 2030年代での原発ゼロ社会実現への決意を、野田佳彦・首相はこう示した。だが、実際に180度変わったのは、「ゼロ方針」のほうだった。政権幹部と官僚が行なった「国家的詐術」を、政府の脱原発路線を支えてきた最高ブレーンの元内閣官房参与の田坂広志氏(多摩大学大学院教授)にジャーナリストの長谷川幸洋氏が聞いた。

長谷川:田坂さんは内閣官房参与として菅直人政権を支え、原発・エネルギー政策の仕事をされた。その後退任されたが、私の取材によれば、実は野田政権でも深く政策作りに関わっているようですね。そこで聞きたい。私は「政府の2030年代ゼロ案は、30年15%案だ」とみている。この理解は正しいか。

田坂:ご指摘のように私は前政権で脱原発依存の政策を推進しました。野田政権では公的な立場にはありませんが、「脱原発への具体的な道筋と政策」を提言することは、前政権で脱原発政策を進言した人間の責任と考えています。

 従って現在も、重要な問題については、閣僚や議員の方々に非公式に進言しています。その立場でお答えすれば、「ゼロ案のデータは実質15%案のもの」という指摘は鋭い指摘と思います。

長谷川:政府が6月29日に決めた「エネルギー・環境に関する選択肢」の文章は私から見ると、官僚の作文そのものだ。ところが9月14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」はまったく違う。たとえば選択肢では主語が「我々」だったのに、戦略は「私たち」になっている。ずばり聞くが、戦略を書いたのは田坂さんなのか。

田坂:私は、現政権に対して様々な提言をしていますので、「戦略」に、私の提言した文章の文言が使われていないかと問われれば、否定はできないですね。

長谷川:田坂さんが書いた部分も残っている、と。

田坂:あくまでも、私は公的な立場にはありませんので……。

長谷川:わかりました。では内容について聞きます。2030年代にゼロということは「2039年までにゼロ」という理解になる。しかし、政府の「戦略」には2030年までの省エネ量などは掲げられているものの、それ以降の2030~2039年はデータの裏付けがない。つまり政策を具体的に進めていく工程表がないのです。しかも閣議決定された文章は「不断に見直す」という。これでは何も決めていないのと同じではないですか。

田坂:残念ながら、あの「戦略」の文章は、脱原発の人も原発維持の人も、一応、双方が納得できる「玉虫色の妥協の文章」と受け止める人は多いでしょう。2030年代ゼロということは、2030年0%もあるし15%もある。

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