80歳エベレスト登頂目指す三浦雄一郎氏 娘は挑戦に反対した

NEWSポストセブン / 2012年11月4日 7時0分

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ボルダリング壁でトレーニングに励む三浦雄一郎さん

 この十月で八十歳になった三浦雄一郎さんが、来年五月、三度目のエベレスト登頂を目指す。

 二度の手術をへてよくなったとはいえ、三浦さんには持病の不整脈がある。二〇〇九年には札幌のスキー場で仮設コースから道路に転落、左大腿骨付根と骨盤四か所を骨折。「運がよければ歩けるようになる」と医者から言われるひどいけがだった。

 マネージャーでもある長女恵美里さんは当初、父の健康を考え、八十歳での登頂計画に反対だったという。

「家族会議を開いて、決定に従ってもらうなんて言い出して。本当に会議を開いて『ダメ』って言われたら、書き置きを残して家出しようと思ったんだけど」(三浦さん)

 周りは、いずれあきらめるのではと思っていたが、三浦さんの強い気持ちは変わらなかった。

「骨折したと聞いて病院にかけつけたとき、父は下半身がまったく動かない状態でした。それでも氷点下四〇度のエベレストに行くことを考えてチタンを埋め込む手術はしたくないと言う。どうしても登るという気持ちを捨てずに懸命にリハビリに取り組む姿を見て、この人から生きる力であるエベレストを取り上げられないなと思いました」(恵美里さん)

 日ごろのトレーニングとリハビリのかいあって、予定より二か月以上も早く退院できた。骨も自然につき、けがをする前より体の柔軟性と筋力はアップしたというから驚く。

 三浦さんの冒険を家族がサポートする。準備登山を含めて約二億円かかる費用の大半は、恵美里さんが三浦さんとともに企業を回って寄付を集めた。長男雄大さんはベースキャンプで通信システムを担当、次男豪太さんは山頂まで父に同行する予定だ。

 だれもやっていないことをやりたい、そう思い続けてきた。

「あいつバカじゃないか、そんなことやって何になるんだってずっと言われてきました。スキー界、山岳界の奇人変人なんですね、ぼくは」

 皮肉なことに、一度切りひらいた道は後追いが容易になる。七十五歳でのエベレスト登頂記録は、七十六歳のネパール人男性が登頂を申請したことで破られた。

 もし彼が現れなかったら、八十歳での挑戦はなかったのだろうか。

「それは関係ないです。もし八十歳で登ったら、八十一歳の人が出てくるかもしれないですし」

 あくまで自分への挑戦ということか。いま、酒よりゴルフより山が一番楽しい──そう言い切る。

 三浦さんの東京の事務所には低酸素室があって、走ったり、簡単な岩登りをしたりできる。部屋の中に競技用のマットがあった。用途を聞いたら、出発が近づくと高地に体を慣らしておくため、この部屋で眠るそうだ。

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