米兵の沖縄女性暴行事件 政治的思惑と報道のミスリードあり

NEWSポストセブン / 2012年11月10日 7時0分

 またしても米兵による沖縄女性のレイプ事件が起きた。繰り返される凶行に対する地元の反発は当然だろう。ただしこの問題には、常に政治的思惑と、ステレオタイプの報道しかできないマスコミのミスリードがついて回り、本質的な問題を見えにくくする悪い副作用がある。  

 そのねじれを指摘したい。まず第1に、「米兵はならず者」という非難である。基地反対派やリベラル勢力は、すぐに「1995年の少女強姦事件を忘れたのか」と反論するだろう。確かにそれ以降、今回の事件を含めて複数の強姦事件が起きていることは許し難いし、兵士としてより高いモラルが求められることは間違いない。が、米兵による強姦の「発生率」は、実は高いとは言えない。

 日本国内で警察が扱う強姦事件は年間約2000件。強姦犯のほとんどが含まれる15~65歳男性の人口は約4000万人だから、ざっと毎年2万人に1人が強姦を犯すことになる。それに対して沖縄駐留米軍は軍人・軍属合わせて約2万5000人。大半は青年、壮年の男性だから、強姦発生率が「日本人の平均」と同じなら、毎年1件以上の事件が起きてもおかしくないが、実際の発生頻度は数年に1件である。

 残念なことだが、女性たちにとっては米兵より普通の日本人男性のほうがずっと危険なのである。この点では、米軍を敵視したい勢力やマスコミによるアジテーションに警戒しておくべきだろう。

 第2には、逆に“米軍大好き”な人たちの不見識を挙げなければならない。森本敏・防衛相は親米派として知られる人物であり、そもそも防衛省のエリートたちは、多くが米国依存主義者だ。森本氏は今回の事件を「事故」と表現して批判された。ちょっとした言い間違いと思えなくもないものの、もし心の底で米兵、米軍を庇いたい気持ちが働いていたとしたら、日本人の安全を守る責任者として情けない限りだ。

 1995年の痛ましい少女強姦事件を機に日米地位協定が見直されたことは多くの国民が記憶している通りだが、それでもなお米兵による事件の捜査には大きな障壁が残っており、はっきり言えば対等な同盟国同士の関係になっていないのである。

「日本を守ってくれているのだから」という言い訳は通用しない。それなら、日本のためになっている外国企業の幹部や、日本人が大好きな韓流タレントが同じことをしても、「日本のためになる人だから」と許すのか。米軍だから、米兵だからというだけで事件から目を逸らしたり、甘く対応したりすることは絶対あってはならないのである。政府はいの一番に米軍に対して断固たる抗議と改善要求を行なうべきだった。

※SAPIO2012年12月号



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