山口恵以子氏が振り返る介護、在宅医「いい加減さ必要」

NEWSポストセブン / 2020年3月8日 7時0分

実はいま、山中さんは山口さんの長兄の主治医も務めている(撮影/横田紋子)

 最愛の母・絢子(あやこ)さんと過ごした最期の日々をあたたかな筆致で綴った『いつでも母と』(小学館刊)を上梓した作家・山口恵以子さん。絢子さんを住み慣れた自宅で看取ったのは2019年1月18日のこと、その最期の日々を在宅医として母娘に寄り添っていたのが、しろひげ在宅診療所院長の山中光茂さんだ。「先生のおかげで母は幸せな最期だった」と山口さんが思うまでの道のりは、後悔と逡巡の連続だった。山口さんと山中さんが、最期の日々を振り返る。

【プロフィール】
作家・山口恵以子さん/1958年生まれ。早稲田大学文学部卒業。丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務の傍ら小説を執筆し、2013年『月下上海』で松本清張賞を受賞。「食堂のおばちゃん」「婚活食堂」シリーズなど著書多数。

しろひげ在宅診療所院長・山中光茂さん/1976年生まれ。慶応義塾大学法学部、群馬大学医学部卒業。2009年三重県松阪市長に。2期務めた後、四日市市で在宅医療に従事。その後、東京都江戸川区で在宅医として勤務後、2018年「しろひげ在宅診療所」を開設。

山口:おかげさまで、自宅で母と最期の時を一緒に過ごせる幸せを感じながら、見送ることができました。これは山中先生をはじめ、皆さんから充分なサポートをしていただいたからだと感謝しています。

山中:山口さんのご家族がずっとお母さまのそばにいて、愛情を注いでいらっしゃったからですよ。

〈認知症だった絢子さんは近所の病院に通っていたが、2018年に入って食事がとれなくなり病状が悪化。通院に不安を感じた山口さんは、2018年2月から山中医師に訪問診療を依頼した〉

山口:あの頃、母の足元も不安になってきて。無理をすれば通院もできたのでしょうが、けがをしたら大変なことになってしまう。不安に思ってケアマネジャーさんに相談したら、山中先生を紹介してくださって。本当にいい先生に巡り会えて幸運でした。

山中:最初にお母さまにお会いしたときは、脚が弱っていらっしゃるとはいえお元気で、重症度が高い患者さんではありませんでした。

山口:そうなのですか?

山中:知らないかたも多いのですが、基本的に訪問診療は、病院に通えない人が受けるもの。私の診療所には約500人の患者さんがいますが、がんの終末期療養が3分の1。ALSなど難病で動けないかたやひとり暮らしのかたもいます。ただし、山口さんのように、ご家族の介護負担や通院リスクを考慮して引き受けることもあります。

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