医療機関が怖れる「6月危機」 夏のボーナス払えない医院も

NEWSポストセブン / 2020年6月1日 7時5分

 この件については、すでに一部マスコミでも取り上げられている。国の斡旋で販売された消毒液が市価の数倍もし、しかも注文した医療機関らが「忘れた頃」、およそ1ヶ月後に届けられたということで、現場が混乱しているという。日本医師会もすでに実態調査を進めているというが「頑張っている医療従事者のために」と、政府は事あるごとに「配慮の姿勢」をほのめかすものの、消毒剤の件といい、医療機関の現実をしっかりと把握しているのか疑わしい限り。

 さらに田中さんが恐れるのは、業界では「6月危機」とも呼ばれる、経済的な要因による「医療崩壊」の可能性だ。

「診療報酬は、約2ヶ月後に医療機関に支払われます。患者が激減した4月分の診療報酬は6月に支払われるのですが、現状で言えば完全な赤字。概ね6月から8月にスタッフに支払っている夏ボーナスについても、出どころを確保できていない医療機関も多いと聞きます。当たり前ですが、人がいなくなれば医療機関も無くなります。医療機関がなくなれば、人が死ぬんです。恥も外聞も捨てて、金をくれというしかない。」(田中さん)

 世間からの「医療従事者は頑張れ、応援してます」という声は、彼らにとっても嬉しいだろうし、励みになるものだろう。ただ、そのおかげで弱音を吐けなくなっているという医療従事者、医療機関が増えている現実にも目を向けなければならない。コロナ後の世界が、医療機関が減り、医療従事者が職にあぶれる、というものであれば、今以上の苦しみが世界を再び襲うことも確実なのだ。

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