【法律相談】妻とレスだが離婚はしたくない 許されるのか

NEWSポストセブン / 2020年6月1日 16時5分

交渉はないが、別れたくはないのだが…

「セックスレス」が1つの社会問題として語られるように久しいが、夫婦間の性交渉が無いものの、離婚はしたくない場合、これはどう対処すべきなのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 妻とはセックスレス。彼女は不機嫌で、離婚を考えているようです。先生は離婚に至る条件として、3年間の音信不通などを挙げていましたが、性交渉をしないことも離婚事由になるのでしょうか。私は別れたくないのですが、セックスレスで離婚が成立した場合、慰謝料を覚悟しなければいけませんか。

【回答】
 離婚裁判では、法の定める離婚事由が必要です。結婚前に性的不能であることを隠して結婚し、同居後も性交渉がない場合には、離婚事由のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして、離婚を認めた裁判例は少なくありません。

 結婚は男女の精神的・肉体的結合ですし、女性が性的関係のない結婚を希望したのであればともかく、性的不能者との婚姻関係の継続は困難でしょうから、離婚事由になるのは、もっともなことです。

 しかし、正常な結婚生活をしていた夫が性的能力を失ったからといって、それだけで直ちに婚姻生活が破綻、婚姻を継続し難い重大な離婚事由になるかは疑問です。性的能力喪失の結果、妻が愛情を完全に失って別居するなどして、婚姻生活の復元が不可能になったような場合なら、離婚も認容されるでしょう。

 ただ、そうであったとしても、性的能力の衰えは歳を取ったり、病気になれば仕方がないこと。円満に暮らしていた夫婦なら、夫の性的能力の喪失だけで、いきなり夫に対する愛情を失い、離婚を求めるようなことはないと思います。あなたに後ろめたいことがないのであれば、自信を持ちましょう。

 とはいえ、性的交渉は婚姻生活の重要な要素ですから、あなたも専門医に相談するなどして、治療を受ける努力をする義務があります。その義務を怠ったままだと、愛情を失いかねません。

 なお、単に妻と性交しないだけではなく、同性愛に耽り、妻を顧みなかった場合、またはポルノにのみ強い関心を持ち、AVを見ながら自慰行為ばかりして、妻との性交を拒否した場合などで妻が愛情を喪失、婚姻継続の意思をも失ったと判断し、婚姻を継続し難い重大な事由があると認めた裁判例もあります。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

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