ベネッセ調査 AO・推薦入学者は安定志向「学習意欲にも差」

NEWSポストセブン / 2012年11月26日 16時0分

今年もセンター試験の出願が締め切られた。大学入試センターの集計によると、685大学、161の短大が参加し、合計過去最高の846校が参加する。出願総数は53万6,334人(うち、現役生44万1,635人、既卒生9万4,699人)。

締め切り当日の消印を集計した最終的な出願数は11月末に発表される予定だが、少子化が進むなか、例えば18歳人口が約206万人だったベビーブーム世代が受験した1992年のセンター試験志願者が47万2千人だったことを考えると、いかに受験者が増えているかがわかる。(※1994年生まれは約123万人)

この背景には、国公立大や私立難関大を中心に、AO・推薦での募集枠の縮小が少なからず関係しているというのは、神奈川県にある予備校講師だ。

■AO・推薦入試の意味合いの変化

文部科学省の調査によると、AO・推薦での入学者は、私立大学では過半数 、国公立でも2割に迫るという(2011年度)。AO・推薦入試は通常一般入試に先駆けて行われるため、大学側には早いうちに生徒を確保できるというメリットがある。受験生にしても一般入試の前にチャレンジするチャンスであり、こちらも早期に進路を決められるため、人気だ。
 
しかし前出・予備校講師は、「AO・推薦入試の意味合いが異なってきている」ことを指摘する。

「以前は、AO、推薦入試というと、“(何かのコンテストで1位など)一芸に秀でた”とか、推薦でも“欠席もなく、部活動でも優秀な成績を残し、さらに学校内での成績がトップクラス”といった優等生の印象が強かったものですが、徐々に“学力と関係ない、ラクな試験”と捉えられている傾向になりました。学校での成績が“普通”レベルで、目立った欠席数というほどでもない子なら、自己推薦文と面接さえ上手くこなせれば合格というケースも」

それを問題視した文部科学省は、2011年度からAO・推薦入試に関する規定を変更。基礎学力重視の路線にシフトしつつある。

■AO・推薦で入学した生徒は「第一志望でも楽しくない」

当然ながら、AOや推薦入試で合格した生徒は、一般入試を受験する生徒に比べて、高校3年生時の勉強時間は短い。26日に発表されたベネッセコーポレーションの調査によると、AO・推薦入学者の約半数が、高校3年生時の勉強時間は「1日1時間未満」と回答している。

ベネッセでは、そんな生徒たちが大学に入学したあとの学習意欲についても調査。すると、第一志望の大学にもかかわらず、「大学での勉強が楽しくない」「勉強や研究を続けていくことに対して喜びや自信を感じない」という生徒は、一般入試で入学した生徒に比べ、AO・推薦入試で入学した生徒のほうが多い。

「そもそも学習習慣がないことに加え、『どうしても入りたくて入った』わけではないので、意欲も低い。楽しいはずがありません。当然一般入試で入った子に比べ、だんだん行かなくなる率も高いです」(予備校講師、以下「」内同)

■一般入試でも「努力した」自信の有無が、その後の進路を左右する
 
さらにベネッセでは、一般入試で受験した生徒たちのなかで、「(受験生時代に)努力し続けた人」と、「努力し続けたとはいえない人」に分けて調査している。すると、「努力し続けた」人のほうが、「卒業後の就職」や「将来つく職業」などについて貪欲であることがわかった。「努力し続けたとはいえない」層は、「安定していて長く続けられる仕事をしたい」「普通の生活に困らない程度の仕事ができればいい」など、安定志向がみてとれる。

「その“安定”も、努力して得られる“安定”ではなく、“今のままでいけるところでいいや”という、淡白なスタンス。“自分に無理をしない”んです。

最初はまず、根拠のない夢や目標があって、それに向かって努力するもの。その努力をするなかで、自分のできること・できないことを見極めて、大人になっていくんです。そして努力というものには“無理”がつきものですが、“無理をしない”とはつまり、“努力をしない”と言い換えることができるかもしれません。

大学に“入ればいい”という時代はとっくに終わっています。むしろ入学の仕方が、その後の大学生活、そして就職に対するスタンスに関わってくることを、教育関係者が真剣に考える必要があるでしょう」



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