危険な夏の脳卒中 手足のしびれ放置し半身不随になることも

NEWSポストセブン / 2020年6月18日 16時5分

夏の脳卒中に注意(写真/アフロ)

 60代男性のAさんに異変が現れたのは、蒸し暑い7月の深夜のことだった。自宅トイレで用を足した後、突然、左の手足に力が入らなくなったのだ。横になれば治まるだろうと思って妻を呼び、介助してもらいながら寝室に戻ると、そのまま横になった。妻からは救急車を呼ぼうかと提案されたが、痛みもないので大丈夫だろうと断ったという。しかしこの判断が間違いだった。

 翌朝、手足どころか体全体が動かない。慌てて救急車を呼んでもらい、病院で検査をしたところ、「脳梗塞」と診断された。発作から8時間ほど経っていたため症状が悪化。結局、完治は見込めず、いまも左半身不随のままだ──。

◆一度麻痺が出れば完治しにくい

 脳卒中は、脳の血管が詰まったり切れたりなどして発症する。血液が流れないと、障害が起きた先の神経細胞が死んでしまうため、体に麻痺が発生するのだ。特徴は、前述のAさんのケースのように突然発症すること。

 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター副院長・脳卒中センター長の植田敏浩さんはこう話す。

「前触れもないので、ご本人もご家族も驚かれます。何年も前から症状があったり、数か月前からなんとなくおかしいといった場合は、脳卒中とは考えられません」

 脳卒中は「脳血管障害」「脳血管疾患」などとも呼ばれる。厚生労働省の『患者調査』によれば、2017年の脳血管疾患の患者数は111万5000人。2018年の脳血管疾患による死亡者数は10万8000人余りで、日本人の死因第4位に挙げられている(厚生労働省『人口動態調査』より)。

 脳卒中が怖いのは、後遺症が残ることだ。厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、65才以上の要介護者のうち、介護が必要になった主な原因の15.1%が脳血管疾患で、認知症(18.7%)に次いで多い(2016年調べ)。

「寝たきりにまでならなくても、脳卒中を起こした人の7割以上は、なんらかの後遺症が残ります。ダメージを受けた脳の場所や年齢などにもよりますが、一度麻痺が出たら、完全には元に戻りません。リハビリは、麻痺をゼロにするのではなく、残された機能を使ってできることを増やすのが主な目的になります」(植田さん・以下同)

◆夏の脱水症状が脳梗塞を引き起こす

 脳卒中は、血管が血栓(血のかたまり)で詰まる脳梗塞と、血管が裂けて出血する脳出血の2つに大別される。

「脳梗塞にはさらに、脳の細い血管が詰まる『ラクナ梗塞』、比較的太い血管が詰まる『アテローム血栓性梗塞』、心臓にできた血栓が脳の血管まで流れて閉塞させる『心原性脳塞栓』の3種類があります。脳卒中罹患者の約75%が脳梗塞です」

 これらのうち、夏に起こりやすいのがラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞だ。

「夏は汗をかきやすいので、体が脱水になりがちです。すると血液の粘稠度が上がり、血栓ができやすくなるのです。予防のためには、充分な水分補給が必要です」

 一方、脳出血は脳の血管が裂けることで起こる。脳梗塞とは逆に冬に罹患者が増える。暖房の効いた部屋から風呂場へ行くときなど、気温差の激しい場所を移動する際、血圧の変動が大きくなり、血管が切れやすくなるためだ。

 このほかに、脳にできた動脈瘤が裂けて起こる「くも膜下出血」もある。脳動脈瘤は年齢に関係なく誰にでもできる可能性があるが、その原因はわかっていない。発症は脳卒中全体の数%程度だが、結果が重篤なことが多い。

※女性セブン2020年7月2日号

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