映画好き鎌田實医師が選ぶ「大好きな音楽映画」ベスト10

NEWSポストセブン / 2020年8月21日 16時5分

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、行動自粛が呼びかけられてからかなりの期間が経った。2019年より前とは違う生活を心がけるにあたり、疲れてきた人も目立つなか、諏訪中央病院名誉院長で長野県茅野市在住の鎌田實医師が、コロナ疲れを吹き飛ばす映画鑑賞法について紹介する。

 * * *
 3月からの5か月間、自宅のある茅野を出たのはたった2回。取材や仕事の打ち合わせはオンライン、テレビやラジオの出演もオンラインで難なく行なっている。毎週のように講演会などで全国をまわっていた“旅暮らし”が、もう大昔のことのようだ。

 浮いた時間、古い映画を見始めたら止まらなくなった。まず『モロッコ』。久しぶりに見たが、何度見てもすばらしい。90年前にこんな映画が作られていたなんて、信じられない。監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ。外人部隊の基地があるモガドールという町に、傭兵としてゲイリー・クーパーがやってくる。マレーネ・デートリッヒが演じるのは食い詰めた歌姫。シルクハットのシルエットで登場するシーンは、実に美しい。

 恋に落ちた2人だが、クーパーは鏡に口紅で グッドラックと書いて、砂漠の戦場へと去っていく。デートリッヒは、婚約を決めたお金持ちに別れのキスをして、砂漠に向かって歩き出す。勇壮な鼓笛隊に送られた兵士のあとを追って、ハイヒールを脱ぎ、灼熱の砂漠を素足で歩き始めるエンディングは実に見事だ。

 デートリッヒはこの映画の後、大女優になっていく。アガサ・クリスティの『検察側の証人』を原作にした、ビリー・ワイルダー監督の『情婦』では、タイロン・パワーを相手役に、妖艶な美しさを見せつけている。

 ゲイリー・クーパーの作品も追っかけてみた。彼がアカデミー主演男優賞を取ったのが『真昼の決闘』。西部劇のぼくのおすすめは、この作品か『荒野の決闘』。ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演の『荒野の決闘』は、女性が見ても楽しめるのではないか。この映画が作られたのはぼくが生まれた年の2年前の1946年。大学生になってから、文芸座の3本立てで観たような記憶がある。

 小説にも飛んでみた。映画『モロッコ』と同じ、モガドールを舞台にした小説『空気の名前』(アルベルト・ルイ=サンチェス著、白水社)という小説を、数年前、アフリカを旅行しながら読んだ。女性へと脱皮していく少女を、メキシコ出身の作家が美しい文体で描写している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング