過酷なDV描いたNHKドラマ 情報媒体として機能し続編待望論 

NEWSポストセブン / 2012年12月15日 16時0分

 今年も数多くの作品が生み出されたTVドラマ。もっとも注目されるべき作品とは何だったか――作家で五感生活研究所の山下柚実氏が考察した。

 * * *
 テレビドラマといえば、何かと視聴率が指標に。でも、ドラマの価値を測るものさしは、もちろん「数字」だけではありません。

 低視聴率の数字に見合ってたしかに内容も薄く、「これを放送して何の意味が?」「社会的コストのムダでは」と感じてしまう某監督の作品など、中にはあったりするのですが……。

 一方で、高い数字はとれなくてもしっかりと「ある役割」を果たす、個性的なドラマも誕生しています。

 終了直後から続々と「続編を」「再放送を」「映画化を」という熱い書き込みが続く、NHKのドラマ10「シングルマザーズ」(10月23日~12月11日)。8回の視聴率はほぼ横ばいで、6.8~9.7%と特に目立つものではありませんでした。しかし、ドラマには珍しい「鑑賞のされ方」をした、今年最も注目されるべきドラマの一つだったと言ってよいのでは。

 物語はタイトル通り、「シングルマザー」が主人公。エスカレートする夫の暴力から逃げることを決め、家を飛び出した沢口靖子演じる直。一人で息子を育てる決意をし、現実と奮闘しつつ、次第に力強さを身につけていく――。

 取材した現実をベースにした脚本だけに、ドラマは滑り出しから決定的に重たかった。夫のDVのシーンが過酷。主役・沢口靖子の演技が尋常ならざるリアルさ。あまりに真に迫っていて、夫が追ってくるシーンなど直視できない怖さ。お茶の間で見ているこっちの肩にも力が入り、全身が硬直しどっと疲れてしまう。

 一言でいえば、現実を現実として逃げずに描いたからこそ、緊迫している。だから辛い。視聴者までが追いつめられる気分。これはもう「娯楽」というジャンルを超えてしまっているのでは……。

 と、最初の頃は思いました。けれども回を重ねるごとに、逃げることに必死だった直が、他のシングルマザーたちと出会い、生きる手段を手に入れ、そして最後には社会的な行動に立ち上がり……。

 視聴者の感想です。

「シングルマザーを支える団体がどこにあるか知りたい。市役所に聞いてみたが見つけられなかった」

「私の地元にもネットワークがほしい」

「こうした情報を広く知らせ、一人親の支援をもっと充実させて」

「DVは外の人にわかりにくい暴力なので、実態を詳しく描いてくれてありがとう」

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