菅首相「学者ぎらい」の裏に浮かぶ、教師になれなかった過去

NEWSポストセブン / 2020年10月17日 16時5分

日本学術会議との騒動で明らかになった菅義偉・首相の姿勢(時事通信フォト)

“私に逆らう学者は任命しない”──。菅義偉・首相は日本学術会議の新会員候補6人の「任命拒否」でそうした姿勢を鮮明にした。杉田和博・官房副長官が事前に6人を削る“紅衛兵”として関与したことが明らかになっている。

 学者側から激しい批判が上がり、日本学術会議が首相に「任命拒否」の理由を説明するように要求すると、河野太郎・行革相が、「日本学術会議の予算や機構、定員について例外なく見ていく」と行革の対象に名指しし、“組織解体”をちらつかせたのだ。

確信犯的に任命拒否

「菅さんはもともと知的権威やエリートに懐疑的です」。そう指摘するのは政治ジャーナリストの藤本順一氏だ。

「叩き上げ政治家である菅さんは、学歴エリートへの不信感を募らせてきた。官僚は学者の権威を利用して政治家をコントロールしようとするし、学者は政府機関と近いことで発言力を増したい。持ちつ持たれつの関係で自己保身に走るのが気に入らないのです。

 コロナ対応では、安倍首相と近い今井尚哉・前秘書官が、菅さんを無視して、仲間内の学者を対策会議に入れて感染症対策を打ち出し、破綻した。尻拭いをさせられた菅さんは怒り心頭でした」

 菅氏はすでに霞が関官僚に対し、「反対するなら異動してもらう」と語って“服従しなければクビ”だと宣言した。そしていよいよ学者の“粛清”に乗り出したのだ。元文科官僚の寺脇研・星槎大学客員教授が語る。

「日本学術会議の会員任命拒否は安倍政権時代から行なわれていたことがわかっているが、憲法が保障する学問の自由に介入する行為なので、安倍政権は裏でやっていた。官僚は今回も表沙汰にせず穏便に済ませたかったはず。しかし、菅総理は確信犯的に任命拒否を示した。『学者にはつべこべ言わせない』という明確な意思が窺えます」

 アカデミズムへの宣戦布告だというのだ。

 菅氏の「学者ぎらい」の背景に浮かぶのが、“田舎から出て苦学した”と語られてきた経歴に潜む学歴コンプレックスだ。

「私には秋田の農家の長男坊の血が流れている」。菅氏はしばしばそう語るが、実は、菅家は「教員一家」でもある。

 父の和三郎は高等小学校を卒業後、満州に渡って満州鉄道に勤め、敗戦後、苦労して故郷の秋田に引き揚げ、いちごの栽培を成功させて長年、生産出荷組合長や町議を務めた地元の名士だ。母は戦前、尋常小学校の教師を務め、2人の姉も北海道教育大学などを出て教師となった。

 菅氏が高校時代の昭和40年代前半、4年制大学への進学率は15%程度、女性に限れば4~5%にすぎない。そうした社会状況で大学を出て教師となった姉たちは紛れもなく「学歴エリート」だ。

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