キセキで歴史的JCに挑む角居師の手応えは【さらば愛しき競馬vol.1】

NEWSポストセブン / 2020年11月27日 19時5分

角居勝彦調教師

 三冠馬3頭が揃う歴史的なレース、第40回ジャパンカップにキセキを出走させる角居勝彦調教師。現役最多のGI38勝(中央、地方、海外)を誇る角居師だが、家業である天理教の仕事に就くため2021年2月で引退、角居厩舎は解散となる。調教師生活20年、厩務員として栗東トレセンに来てから34年、北海道のグランド牧場で初めて馬に触れてから40年。角居師は自身のホースマン人生の集大成として『さらば愛しき競馬』を上梓した。引退まで残る競馬開催は13週、NEWSポストセブンでは金曜夜配信で角居師のカウントダウンコラム(全13回)を配信する。

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 調教師として通年を過ごす最後の年が、歴史的に大きく記憶される1年となってしまいました。競馬が中止になる可能性もあったわけで、結果的に厩舎の解散が早くなってしまうことも覚悟しました。

 しかし、多くの業界が停滞するなか、競馬はコロナに負けませんでした。無観客という事態になっても、ファンの方々が面倒な手続きを経て即PAT会員などになり、ネット投票をしてくれたおかげです。結果売上は落ち込むことはなく、昨年を上回るGⅠレースもあったことに対しては心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。

 10月になって少しずつお客さんが入るようになり、パドックなどでは緊張するようになりますが、それも楽しいと思えるようになった。やはり競馬場が明るくなったような気がします。そういえば、ソワソワする馬も増えたかもしれません。

 レース前のパドックなどで他の厩舎の馬が目に入ってくることがあります。それほど血統がいいわけでもないし、人気もないけれど、日常的に競走馬を見ているからこそ感じるものがある。そしてそういう馬がいい走りをすることがあります。もちろん、いつもいつもというわけではありませんが(笑)。

 それはやはり40年間積み上げてきたものがあるからなのでしょう。引退するにあたって、競馬場に入れないにもかかわらず競馬を支えてくれたファンの方々に恩返しができないだろうかと考えて、自分の思うところを一冊の本にまとめてみました。競馬に使う側の考え方や方法論を知ることで、馬券検討の役に立つこともあると思います。

 さらに、馬券を買うだけではなく、パドックでの所作や返し馬の特徴ある動きが、馬にとってどういう意味があるのかまでわかるようになると、競馬はもっともっと面白くなります。本来、馬は競走とは無縁なはず。それでも人間と共に生きているのだと思えるようになってくると、馬という動物が愛しくてしょうがなくなります。

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