大前研一氏が提言「国策として真剣に料理に取り組むべき」

NEWSポストセブン / 2020年11月30日 7時5分

日本の将来を支えるのは「料理」と提言する理由とは

 新型コロナウイルス第3波のために雲行きが怪しくなってはきたものの、政府は来年1月末までとしていた「Go Toトラベル」事業を2月以降も継続、5月のゴールデンウィークまで延長される公算が大きい。第二次補正予算に約1.7兆円の事業費を「Go Toキャンペーン」に計上し、足りなくなればさらに財源を確保するとしている。

 はたしてこれでよいのだろうか──。経営コンサルタントの大前研一氏はインバウンドがなくなった今こそ、国内旅行需要を本質的に喚起する「観光版・日本列島改造論」を実行すべきだ、と提言する。

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 今後の世界経済をリードするのはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などと言われているが、それらの分野ではすでに日本はアメリカや中国などの後塵を拝している。ならば、日本の将来を何で支えるのか? 日本人が世界的なリーダーになれる可能性がある分野──それは「料理」ではないかと私は考えている。

 私自身、暇さえあればオートバイや車で国内各地を巡って食べ歩いているが、日本は全国あちこちに素晴らしい食材が山ほどある。

 ただ、残念なことに、地方にはその食材を生かし切れる腕の立つ料理人が非常に少ない。そういう料理人(=旨い店)は東京をはじめ京都、大阪、博多、金沢などに集中しており、それ以外の地域ではあまりお目にかからないのだ。実にもったいないことである。

 だから日本は、インバウンドの復活も視野に入れて、国策として「料理」にもっと真剣に取り組み、今後10年くらいかけて料理人の人材養成と料理のレベルアップや多様化に注力すべきだと思うのである。

 その具体策は「料理大学」の創設だ。日本の場合、料理の分野は専門学校しかないが、たとえば“美食の街”と呼ばれるスペインのサン・セバスチャンには、2011年に設立された料理専門の大学・大学院「バスク・カリナリー・センター」がある。私は昨年、同校を視察したが、世界中から集まった料理人志望者を相手に、世界の一流料理人が講師を務めるとともに、レストランの「経営」についても教えていた。

 また、アメリカのニューヨークには世界最大の料理大学「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ」があり、約3000人の学生が料理に関する知識と技術を学んでいる。

 それらを参考に、日本も政府と各自治体が協力して、料理人を養成する大学・大学院を創設し、経営や顧客満足度などがわかり、かつ腕の立つシェフや板前を輩出するのだ。そうすれば全国的な料理のレベルが上がり、国民(とくに高齢者)はいっそう旅行に出かけるようになって地方でお金を落とす―という好循環が生まれると思うのである。

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