中国寄りとされる台湾のテレビ局 免許更新できずに閉鎖へ

NEWSポストセブン / 2020年12月5日 7時5分

親中派テレビ局が閉鎖される背景とは

 台湾で放送や通信行政をつかさどる国家通信伝播委員会(NCC)は、親中派として知られるテレビのニュース専門チャンネル「中天新聞台」(以下、中天)について、放送事業免許を更新しないことを決定。同チャンネルは12月11日の放送を最後に閉鎖される見通しだ。

 NCCが報道専門チャンネルの再免許を認めなかったのは初めて。中天は十分な事実確認を怠り、視聴者に誤解を与える報道を繰り返したことなどから、20回以上の行政処分を受けている。

 これについて、中天はFacebook上で「台湾で戒厳令が解除されて以降、報道や言論の自由が最も暗黒な1日となった」「政治的な裁きだ」などと反発したほか、ネット上でも「蔡英文政権が批判している中国共産党による言論弾圧と同じだ」との批判も掲載されている。台湾メディアが報じた。

 中天は中国寄りとされる「旺旺中時メディアグループ(旺中集団)」傘下にあるケーブルテレビ局で、6年間の放送免許終了時期が12月11日に迫っていた。

 中天は2018年の高雄市長選の際、対中融和路線を打ち出す韓国瑜候補(野党・国民党)に関する内容が9割を超えていたことなどが指摘されており、過去6年間に計1153万台湾元(約4200万円)の課徴金支払いを命じられていた。

 NCC側は10月末、放送免許更新の審査に当たって、異例の公聴会を開催した。NCCの陳耀祥・主任委員は11月中旬、今回の決定について記者会見で、「公聴会の委員7人による全会一致で下された決定だ。いかなる政治介入もない。報道機関として内部の管理体制に大きな問題があり、中天は報道内容について改善の見込みがないと判断した」と説明した。

 中天側に立つ中国国民党は「台湾の報道の自由が大きく後退した」と声明で指摘。「固定観念にとらわれた偏ったやり方だ」とNCCを批判している。

 国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF)は、放送免許が認められないことで中天の従業員に影響が及ぶのは遺憾だとしつつ、NCCの決定自体は報道の自由の侵害に当たらないとの立場を示している。「報道の自由とは全く管理しないことではない」とし、メディアの所有者の利益に合致する内容を、本来中立であるべきメディアを通じて拡散させることは不適切だとの考えを明らかにしている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング