コロナ禍で受診控え 病院行かなくても7割が「体調問題なし」

NEWSポストセブン / 2020年12月26日 16時5分

これまでは過剰医療だったのか?(イメージ)

 コロナ禍のいま、病院は患者に「不安」を与える場にもなっている。もしも病院内にコロナウイルスが持ち込まれれば、基礎疾患を持つ高齢者を含む多くの患者に感染が拡大し、重症化リスクが増大する。院内感染に巻き込まれる懸念もあり「受診控え」が激増した。

 だが、コロナが怖いからと受診を控えると、持病が悪化するなど健康を損ねてしまうのでは──と思う人も多いはずだ。

 そんな思い込みを覆すのが、11月に健康保険組合連合会(健保連)が公表した「新型コロナウイルス感染症拡大期における受診意識調査」(速報版)である。

 同連合会が全国の20~70代の男女4623人に調査したところ、「持病あり」と答えた3500人のうち、24.7%が緊急事態宣言中(2020年4~5月)に通院頻度を少なくするか、通院自体をやめていた。

 持病別では、「アトピー性皮膚炎」と「花粉症以外のアレルギー疾患」が約40%と多数を占めたが、「胃炎など消化器系の疾患」「腎炎など泌尿・生殖器系の疾患」「糖尿病」などの慢性疾患でも、約20%の人が病院に行かなくなった。

 さらに興味深いのは、通院抑制者のうち69.4%が、緊急事態宣言が解除されたのちも「とくに体調が悪くなったとは感じない」とし、7.3%は「体調が回復した」と回答したことだ。

 一方、「体調が少し悪くなったと感じる」「とても悪くなったと感じる」は合わせて12.2%だった。感染リスクも考えれば、少なからぬ人が“病院に行かないほうが健康でいられる”ということを示唆する数字である。健保連の調査担当者が指摘する。

「体調の変化はあくまで患者自身の主観で、持病や体調不良の原因そのものが回復したわけではありません。ただし、患者自身が受診を抑制しても体調に変化がみられなかったと自覚したことは回答の通りです」

 もちろん、がんや脳血管疾患など、継続的な治療を要する病気においては定期的に通院することが不可欠だ。だが、とりわけ慢性疾患において、日本では「過剰医療」が指摘される。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏が指摘する。

「現行の診療報酬体系では2週間に1度、診療すれば慢性疾患の手技料が加算点としてプラスされることもあり、多くの医師は『2週間後にまた来てください』と患者に伝えます。

 しかし本来ならば、1か月~1か月半に1度経過観察すれば十分という慢性疾患は少なくありません。しかも現在はコロナに院内感染するリスクがあるため、治療に支障のない範囲で、不要な通院を差し控えることが求められます」

 加えて上医師が指摘する“頻繁な通院”によるリスクは「薬」だ。

「通院回数とともに薬の処方が増えると、患者のリスクも増大します。もちろん、治療のために適切な薬を飲むことは大切ですが、中には不必要な薬まで処方するケースが少なくない。しかも高齢になるほど複数の病院にかかって、薬の量が増えるケースが増加します。

 特に高齢者に多いのは、整形外科、内科、皮膚科、泌尿器科などをかけ持ちするケースで、各診療科で似たような薬が出るリスクがある。薬の副作用は2種類のかけ合わせしか調べないので、多剤併用すると副作用リスクの増大が懸念されます」

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

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