池上彰×横田増生対談 「トランプの方がよかった」が中国の本音か
NEWSポストセブン / 2021年1月20日 16時5分
1月20日にアメリカにジョー・バイデン大統領が誕生。長年大統領選を取材してきた池上彰氏と、アメリカでトランプ陣営への潜入取材を続けてきた横田増生氏が緊急対談。バイデン新政権の対中政策について意見を交わした。
* * *
横田:トランプは極端な対中強硬路線を敷きましたが、バイデンの対中政策はどうでしょう。
池上:これも難しい。トランプ氏がずっと中国の悪口を言い続けてきたので、アメリカ国民は共和党支持者も民主党支持者も中国が大嫌いになりました。この状況でバイデン氏が中国との関係を改善しようとしても、しばらくは無理でしょう。
横田:トランプの中国叩きはトランプ信者にも浸透していて、彼らは中国のことを「CCP」と呼びます。「Chinese Communist Party(中国共産党)」の略で、彼らは「とにかくCCPが悪いんだ」と言うんです。
池上:最近はトランプ氏だけじゃなく、ペンス副大統領やポンペオ国務長官も中国と言わず、わざわざ「中国共産党」と口にしますね。以前は単なる中国叩きだったけど、この頃は「中国共産党が許せない」と言う。かつて日本の一部保守派が「中共」と批判的に呼んでいたニュアンスに近い。
横田:なるほど。
池上:もうひとつ米中の火種になるのは、人権問題です。トランプ氏は経済問題に言及するばかりで、新疆ウイグルや香港で起こっていることに無頓着でしたが、人権問題を大切にする民主党のバイデン氏は問題視せざるを得ない。中国は人権問題に口を挟まれたら必ず猛反発するので、米中関係が深刻化する可能性があります。中国は本音では、バイデン氏よりもトランプ氏のほうが良かったはずです。
【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊こどもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。
横田増生(よこた・ますお)/1965年福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。物流業界紙の記者、編集長を務め、1999年フリーに。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』(小社刊)で新潮ドキュメント賞受賞。写真はトランプ陣営の選挙ボランティアに潜入時。
※週刊ポスト2021年1月29日号
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