山手線が曲がりくねっている理由 鉄道の成り立ちに皇室とのかかわり
NEWSポストセブン / 2021年1月26日 11時5分
中央線は真っ直ぐなのに、なぜ山手線はくねくねと曲がっているのか。その理由は「皇室の土地を避けて路線を造ったから」だという。鉄道路線の成り立ちや歴史には、日本の皇室が大きな影響を与えたことは意外に知られていない。歴史探訪家で、新著『妙な線路 大研究』(実業之日本社刊)が反響を呼んでいる竹内正浩さんはこう語る。
「中央線や山手線など、東京のインフラを担う主要路線のほとんどは戦前にできました。そのルートを決定するにあたっては、当時首都各地にあった皇室財産である『御料地』を避けて通る、もしくは鉄道側が宮内省と粘り強く交渉する必要がありました。
そうした背景は路線図にくっきりと表れています。中央線の東中野から立川間は御料地が少なかったのでまっすぐな線を描く一方で、山手線の前身となった、品川から赤羽を結ぶ『品川線』はいびつな形を描いています」
郊外に目を向けても、天皇家の歴史を肌で感じられる路線がある。
1931(昭和6)年に開通した京王電気軌道(現・京王電鉄)の「京王御陵線」。大正天皇の墓所である多摩陵が完成すると同時に、御陵への参拝客を見込んで造られた。
「当時、東京郊外の私鉄の大半は経営的に苦境にあえいでいて、神社への参拝や宅地開発によって乗客を呼び込もうとしていました。そんななかで、初めて関東に天皇陵が造られるということになり、人々の関心も非常に高く、こぞって参拝を求めたので、鉄道を走らせたわけです。
ただ、その盛り上がりも短期間で終わり、御陵線は残念ながら1945年に廃線となりました。その一部区間を利用して1967年に開業したのが京王高尾線です。戦前期の平和な昭和時代の一断面を現在に伝えてくれる路線だといえるでしょう」(竹内さん、以下同)
皇居からほど近い東京駅には両陛下が利用する“秘密のルート”が存在するという。
「地方へのご公務に出かける際、両陛下が東京駅の車寄せに到着し、貴賓専用の入り口から駅に入られる様子はテレビなどの報道でも目にします。ただし、その後、新幹線のホームに登場するまでの間、どのようなルートでホームまで移動しているのかはベールに包まれています」
たしかに駅ナカの利用者でごった返す東京駅の構内を両陛下が歩かれている姿は、ニュースでも見たことがない。
「明らかにされているのは、東京駅1階に貴賓室があり、ご出発までの時間はそこで過ごされるということ。窓には防弾ガラスが使われており、内部の様子を外からうかがうことはできません。
東京駅の開業当時に公開された資料などから推測すると、貴賓室にはプライベートなエスカレーターがあり、それを使って一度地下に降りて、地下通路を歩かれる。そしてふたたびエレベーターで地上のホームへ向かうのではないかと思われます」
感染拡大が落ち着き、自由に外を歩けるようになったら、皇室と鉄道のおくゆかしい歴史の息吹を感じてみたい。
※女性セブン2021年2月4日号
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