ヤクザとコロナ 「親分にうつしたらどう責任をとるか…」と幹部
NEWSポストセブン / 2021年2月4日 7時5分
1月下旬、六代目山口組と分裂抗争中の神戸山口組系の幹部が亡くなったとの情報が、暴力団社会を駆けめぐった。新型コロナに罹患した60代で、基礎疾患があったというが、組員たちには動揺が広がった。
「コロナにかかったヤツは全国の組織にいるが、命を落としたという話は初耳。根拠なく、ヤクザはしぶといと思い込んでいた」(山口組系幹部)
実際のところ、この幹部がコロナ感染により死亡した初めての暴力団員なのかは、警察関係者に聞いてみても確認は取れなかった。
ただ暴力団組織の上層部はどこも高齢化が顕著だ。六代目山口組の司忍組長は79歳、神戸山口組の井上邦雄組長は72歳で、他の組織トップも年齢に大差はなく、ナーバスになっているのは間違いない。末端組員がもしコロナに罹患すれば、上部団体に報告せねばならないだろう。
「コロナ対策はしているが、もし親分にうつしたら大事になる。後遺症が残ったり死亡したらどう責任を取るか……指など詰めてもどうにもならない。場合によってはその団体の名跡が消滅しかねない」(同前)
年末の12月13日、西日本の暴力団組織では、正月を先取りした事始式が執り行なわれ、直参組長が勢揃いして親分に挨拶するのが慣例だ。しかし六代目山口組をはじめ、事始式を中止した組織もあった。新たな若い衆が誕生し、盃を結ぶ場合は、盃事のセレモニーをするが、可能な限り回数を減らしているという。
「事務所に行く際にマスクをするのは当然。入口では体温チェックもあり、入念に手をアルコール消毒している。オヤジの部屋に入る時はもう一度検温とアルコール消毒を行なう徹底ぶりだ」(関東の老舗博徒一家組員)
二度目の緊急事態宣言以降は、ほとんどの組織で盃や挨拶訪問、幹部会などの会合を中止している。なかには実話誌の“写真映え”を意識してかマスクを着けない幹部もいるが、一方で、ある組織の親分は身の回りの世話をする組員数名と、自宅に“籠城”しているとも聞く。最も感染者の多い東京では、警察署がクラスターになった例もある。
「警察署が一番信用できない。何があっても、いま捕まるわけにはいかない。若い衆には、パクられるような下手を打つなと厳命している」
ある組長は深刻な顔でそう話した。
不要不急の外出は可能な限り延期しているが、政治家同様、暴力団は人間関係のパイプで金を稼ぐ。「シノギは会食から生まれる」(指定暴力団二次団体組長)と公言する親分もおり、すべてをストップするわけにもいかないという。
暴力が資本である以上、小競り合いや喧嘩は避けられないが、緊急事態宣言下の抗争は厳禁としている組織が多い。山口組の分裂抗争も実質、休戦状態だ。
ウイルスは銃より強し、か。
●鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2021年2月12日号
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
神戸山口組、暴力団指定から5年 抗争続くも勢力減退
産経ニュース / 2021年4月15日 18時50分
-
拳銃を突きつけて穴を掘るように指示 「あまりにも…」と刑事が絶句したヤクザ史上最も残酷な“殺戮”とは
文春オンライン / 2021年4月10日 6時0分
-
「お前の親父はヤクザだろ」高知東生も経験した“ヤクザの子供”に生まれたからこその“苦しみ”
文春オンライン / 2021年4月5日 17時0分
-
絶縁されて「半グレ」の手伝いをする元ヤクザも…“ヤクザ”と“引退”の知られざるリアル
文春オンライン / 2021年4月5日 17時0分
-
“山口組一強”はさらに進む? 元極妻が考える「ヤクザの勢力図2021」
サイゾーウーマン / 2021年3月28日 16時0分
ランキング
-
1アイドルユニット脱退で「違約金1千万円」 事務所と元メンバーが法廷闘争
弁護士ドットコムニュース / 2021年4月20日 10時45分
-
2「謹んで将軍様のジープを拝借します」6億円分の中古重機に三菱パジェロ…水谷功による金正日への“裏工作”とは
文春オンライン / 2021年4月19日 17時0分
-
3豚の殺処分中、獣医師の注射針が県職員に刺さる…救急搬送され作業中止
読売新聞 / 2021年4月20日 6時12分
-
4大阪ミナミの「カニオブジェ」破壊男の動機 そして店が被害届を取り下げた理由
日刊ゲンダイDIGITAL / 2021年4月20日 9時26分
-
5ワクチン予約開始と「市民が誤解招く記載」…電話殺到で市の回線パンク
読売新聞 / 2021年4月20日 13時29分