かまぼこがプチ贅沢品に 「安く作れる時代長くない」と社員

NEWSポストセブン / 2012年12月30日 7時0分

 おせち料理離れが言われたのは過去の話。実は若者はおせち料理好きという調査結果もあり、家族で楽しむお正月に欠かせないものとしてすべての世代に認識されている。

 ところが、おせちをはじめとした伝統的なお祝いの席に欠かせない食材のひとつ「かまぼこ」の生産量は1970年代初頭をピークに減少するばかりだ。一世帯あたりの支出金額をみると、平成23年にはとうとう3000円を切ってしまい、20年前のほぼ半額まで落ち込んでいる(全国かまぼこ連合会しらべ)。

 じりじり減り続けることへ危機感から、かまぼこ業界では様々な試みがなされている。新しい可能性を探して、10月末には原宿・表参道・青山を巡る、街を楽しむ「青参道アートフェア」のひとつとして、「かまぼ考」というプロジェクトがおこなわれた。23組のクリエイターとともにプロジェクトに参加したのは、2015年に創業150年をむかえるかまぼこの老舗、神奈川県の小田原鈴廣だ。

 イベントでは、“かまぼこ”について、いくつもの新しい発見があったと小田原鈴廣お客様コミュニケーション課の小川典江さんは言う。

「デザイナーの皆さんは、かまぼこを食べる様子をまず想定して、そのシーンにあうならこんなかまぼこが存在するであろうとデザインを考えます。一方、製造する我々は、さきに商品を製造してから、お客様はどんな場所で食べてくださるのだろうとプロダクトアウトな発想になりがちでした。

 また、かまぼこのことをご存じない方々からの斬新なデザイン案は、これまでの製造方法では無理難題も多く、そのおかげで職人が試行錯誤につとめ、新しい技法をうみだすこともできました」

 かまぼこ不振の原因として、加工食品や大量生産に慣れきった日本人の舌の変化にも原因があるのではないかと言われている。特に板つきかまぼこでは、つなぎのでんぷんなどを使わず、魚肉と職人の技でつくりあげる本来のかまぼこが持つ魚本来の弾力が、若者を中心に敬遠されているのではないかというのだ。

 その結果、小田原鈴廣のように、全国各地にある伝統の技によるかまぼこほど若い人の手が伸びないという。ところが、“かまぼ考”ではこういった観測を裏切る反応が相次いだ。

「会期中に開かれた“かまぼこナイト”というイベントには、日頃、かまぼこを召し上がっていない、表参道が似合う若い方ばかりが200人以上、会場に入りきれないほど来場されました。かまぼこ職人へ質問が集中し、天然食材でできていることに興味を持っていただけて、伝統的な製法でつくられた板かまぼこをおいしいと言っていただきました」(小川さん)

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