『天国と地獄』、なぜ視聴率で独走? 光る「総合点の高さ」脚本×綾瀬はるか×高橋一生

NEWSポストセブン / 2021年3月6日 19時5分

ドラマはクライマックスへと向かう(時事通信フォト)

 2021年1月期のドラマ視聴率ランキングは、綾瀬はるかが主演を務める日曜劇場『天国と地獄~サイコな2人~』(TBS系)の独走状態だ。2月28日に放送された第7話の世帯平均視聴率は14.7%と報じられており、この勢いのままクライマックスに突入していきそうな気配を見せている。

 本作は、女刑事・ 望月彩子(綾瀬)と殺人鬼・日高陽斗(高橋一生)の精神が入れ替わってしまうサスペンス。第1話の段階では、「一緒に階段から転げ落ちる」というベタな入れ替わり設定や、着けたり外したりの中途半端なマスク描写にツッコミを入れる視聴者も多かった。

 そんな序盤で話題を牽引したのが、綾瀬はるかと高橋一生の「入れ替わり演技」だ。お互い見事に精神の入れ替わりを表現し、血まみれで冷酷な笑みを浮かべる綾瀬、涙目で震える高橋など、ふたりの新鮮な演技が毎週大きく反響を呼んだ。

 入れ替わり演技が耳目を集めるうちに、『世界の中心で、愛をさけぶ』、『白夜行』、『JIN-仁-』、『天皇の料理番』、『義母と娘のブルース』など数々のヒットドラマを担当してきた名手・森下佳子による脚本も本格的な盛り上がりを見せていった。物語も後半戦となった現在では、“クウシュウゴウ”などの謎をめぐって視聴者の考察が過熱し、毎週のように関連ワードがTwitterのトレンドをにぎわせている。

 他にも話題作がいろいろ放送されている中で、なぜ『天国と地獄』が視聴率レースを独走しているのか? ドラマウォッチャーの明日菜子氏は、昨年1月期に放送されたヒット作『テセウスの船』から生まれた「流れ」を感じているという。

「平均視聴率19.6%で有終の美を飾った『テセウスの船』を意識しているのか、日曜劇場では、『危険なビーナス』、そして今回の『天国と地獄』とミステリードラマが続いています。原作ありだとネタバレが避けきれず、原作なしだと脚本の力が及ばず展開が読めてしまうドラマも多いのですが、『天国と地獄』はストーリーテリングに長けた脚本家・森下佳子の完全オリジナル。猟奇的な殺人事件から始まり、奄美大島の神秘的な伝説、さらには日高に双子の兄がいたことが判明するなど、新たな事実が明かされるたびに別の謎が浮上する展開が魅力です。

 視聴者が推理しやすいようにあえてヒントが散りばめられた考察向けのドラマが流行る中、毎週翻弄されるような圧倒的なストーリー展開こそが、『天国と地獄』が視聴者を惹きつける最たる理由だと思います。

 さらに作品を進化させたのは、複雑な脚本を乗りこなしている綾瀬はるかさんと高橋一生さんの腕前です。過去に何度かタッグを組んでいるため、森下さんはおふたりの魅せ方を熟知されているのでしょう。第2話での高橋さんの“泣き”芝居は、どことなくコミカルに映っていた男女入れ替わり劇をシリアスへと一転させました。綾瀬さんも呼応するように日高役とのシンクロ度を増している。物語自体の面白さと共に、綾瀬さんと高橋さんの好演も記憶に残る、総合点の高い作品に仕上がるのではないでしょうか」(明日菜子氏)

 ネット上の感想や考察の盛り上がりを見て、新たに『天国と地獄』に興味を持つようになった人も多いことだろう。最終回を目前にして、視聴者も巻き込んで非常に良い波が生まれていると言える。どのドラマも佳境を迎える中、『天国と地獄』の盤石のポジションを脅かす作品は現れるのか??。

◆取材・文/原田イチボ(HEW)

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