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死刑確定の筧千佐子被告 最後の面会で語った「最初の旦那は殺していない」

NEWSポストセブン / 2021年7月15日 16時5分

 これもかつての面会時に、千佐子が頻繁に口にしていたことだ。そういう点でいえば、彼女の話には一貫性がある。私はじつのところ、長い拘置所生活によって彼女の認知症が進行しているのではないかと危惧していた。だが、この場でやり取りする限りでは、3年前からの変化は見受けられない。千佐子は私の顔をまじまじと見つめると言った。

「こうやって見ると先生若いわあ。帽子被ってるから頭がどうなってるのかはわからんけど、肌つやもええしね。体悪くないやろ」

 その言葉を聞き、既視感を覚える。彼女は前にも次のように言ったことがあるのだ。

「先生、ちょっと手え見せて。先生、手えキレイやなあ。女の人よりもキレイちゃう? 見てこれ、私なんてもうガサガサや。私も昔はオシャレやったんやけど、ここ入ってから、もう全然構わんくなったんよ。男の人がおらんのやもん。やっぱ、男の人がおらんと、そういう気にはならんわ」

 これもまた、彼女がこれまで高齢男性を籠絡する際に使ってきた“技”なのだろうと感じていた。そしてそれは今回の発言によって、彼女のなかに染みついているものなのだと確信した。

 面会に許された時間は15分間。それはあっという間に過ぎ、終了を告げるベルが鳴った。私は今回会ってくれたことについて、礼の言葉を述べた。

「まあな、先生もせっかく来てくれたしな。嫌な人は何人かいるけど、私はそういう人とは会いません」

 脇の女性刑務官に促され、千佐子は立ち上がる。私も立ち上がり頭を下げて言った。

「千佐子さん、私がこう言うのもなんだけど、お元気で。どうもありがとう」

「ありがとうね。私はこれでサヨナラ」

 彼女ははっきりした声でそう言うと、広げた両掌をこちらに向け、胸の前でひらひらと振る。

 それは少女のような振る舞いだった。やがて彼女は踵を返すと、小さな背中は金属製の扉の向こうへと消えていった。

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