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せっかちだった田中角栄氏 「一服のときだけは心休めていた」と元側近

NEWSポストセブン / 2021年8月29日 11時5分

田中角栄元首相のタバコにまつわる思い出を元衆院議員の石井一氏が振り返る

 喫煙者がどんどん減っている今の時代だが、昭和という時代では、タバコの煙が身近な存在だった。昭和の大政治家も、タバコの煙をくゆらせながら、日本の未来を考えていたという──。元衆院議員の石井一氏が田中角栄元首相のタバコにまつわる思い出を振り返る。

 * * *
 オヤジはゴルフが好きで、若手議員をよくラウンドに誘ってくれました。僕も数えきれないぐらい誘ってもらった一人ですが、とにかくせっかちで、歩くのが速い。第一打を打ち終わったと思ったら、クラブを何本か持ってすぐに第2打地点に向かってスタスタ歩き出す。「ゴルフは考えちゃいかん」が口癖で、ティグラウンドで球を打つのも早かった。

〈国土庁長官、自治大臣などを歴任した元衆議院議員の石井一氏は、田中角栄元首相の側近中の側近で、「田中軍団の青年将校」とも称された。角栄の“せっかちゴルフ”は知る人ぞ知る話だが、タバコを吸うときだけは違ったという〉

 プレーを中断して、美味そうに一服しながら、よく政局の話や人物評なんかを語ってくれました。ゴルフ場なら周囲に誰もいないから、“墓場まで持っていくような話”もありましたね。ホールアウト後にはシャワーを浴びて、レストランで水割りを飲みながら、また一服する。

 常にポケットに入れていたのはマイルドセブンの箱でした。僕はピースを吸う真のヘビースモーカーですが、オヤジは気分転換に吸うことが多かったように思います。タバコは持っているけど、ライターを持っていない。しょっちゅう「ライター持ってないか?」と催促されましたよ。

 好きなゴルフや会議の後など、ホッとひと息つくような時間に、とにかくゆっくり美味そうにタバコを吸う姿が記憶に残っています。あと、重要な話をするようなときにも、本数が進んでいましたね。私もその癖がうつって、いまだに1日30~40本吸っています。

 当時は、国会でも本会議場以外はどこでも喫煙できた。委員会でもみんな平気で吸っていましたよ。タバコを吸わない人が煙たがっていると、「どっかに行け」と言えた時代だったからね。いまは逆になっちゃったけど、僕に言わせればタバコは滋養の素ですよ。

〈石井氏は現在、日本ジャズ音楽協会会長を務めているが、その会長挨拶文には《幾多の困難な政局の荒波を乗り越え、心身の衛生を保つことができたのも、ジャズとタバコの与えてくれる“至福のひととき”がもたらしてくれる開放感と安らぎがあればこそのことだと思います》とある。もし角栄が現代の禁煙・分煙の厳格化を目にしたら、一体どのように対応していただろう〉

 もちろんオヤジだって分煙などのルールには従うだろうけど、場合によっては「そんなこと(禁煙)やめとけ」と言うかもしれないね。「そんなに悪いものなら売らなければいい」とハッキリ言っていたかもしれない。

 オヤジのモットーは決断と実行で、もの凄くダイナミックに決断をし、実行に移した。いまのようなコロナ禍の社会には、彼のようなリーダーが必要だと思います。

〈「コンピュータ付きブルドーザー」の異名を取って、休まずに動き続けた角栄を支えていたのは、タバコを一服する“至福のひととき”だったのかもしれない〉

撮影/山本晧一

※週刊ポスト2021年9月10日号

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