“ピッカピカの1年生”CM制作者「子供が夢見る力を信じよ」

NEWSポストセブン / 2013年1月31日 16時0分

【著者に訊け】杉山恒太郎氏/『無垢の力』/講談社/1365円

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 それは決して“かわいいだけのCM”ではなかった。杉山恒太郎氏(64)の初期の代表作「ピッカピカの一年生」シリーズ(1980~1994年)の斬新さは、それを撮る側と撮られる側の〈ピッカピカの精神〉にあったのだ。

「当時は僕も若かったから。なんせ20代(笑い)。いかにも優等生っぽい子役が笑顔で喋らされていたりする、偽善的なCMだけは作りたくなくてね。もっと剥き出しで生々しい〈生きものの力〉そのもののような6歳児を日本中の幼稚園を回って撮影しました。CMで初めてビデオカメラを使ったのもあのシリーズ。要するにピッカピカの精神はパンクな精神と言ってもいい」

 数々の人気CMを手がけてきた杉山氏がその創作の奥義を明かし、〈ピッカピカでい続ける法〉を探る本書『無垢の力』は、読む者の年齢や職種を問わない箴言にみちた一冊だ。彼は言う。

〈過去はいつも新しく、未来はなぜか懐かしい〉

 例えば子供たちが垣間見せる生のきらめきに私たちの心は躍る。そんな新しくて懐かしい出会いを重ねていければ、日本もまだまだ捨てたものではないと。

「つまり僕は大いに反省したんですよ。日本にはもう未知のものや神秘的なものに目を輝かせる子供なんているはずがないと、自分がよく知りもしないで勝手に思い込んでいたことに!」

 2011年11月。杉山氏は来日中のブータン国王が被災地の小学校を訪れたことを伝えるニュース映像に胸を衝かれたのだという。国王は子供たちに言った。

〈君たちは、龍を見たことがあるかい?〉〈僕は、見たことがあるよ〉〈龍、というのは僕たちひとりひとりの中にいるんだ〉〈龍たちは経験を食べて大きくなる〉〈僕たちは、自分の龍を大切にしなければいけないね〉――。

「龍を見たことがあると、大人として言い切ってしまえる国王にもシビレたけど、それに対して子供たちが大歓声を上げたことに、僕はもう心底感動しちゃってね。こういうキラキラした目に僕らはたくさん出会ってきたじゃないかと、あの時の子供たちと十数年ぶりに再会した気分になったんです。

 こんな夢のない今の日本でいきなり龍の話なんかされてもシラけるだけだと、勝手に決めつけていたのは僕ら大人の方で、子供たちは何も変わっちゃいない。彼らの夢見る力を信じられないのは僕らに想像力がないからで、日本の子供たちもなかなかやるなあと頼もしく思うと同時に、彼らを一瞬でも疑った自分を猛烈に恥ずかしく思った。

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