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習近平主席の「共同富裕」構想に1.3兆円の寄付 貧困撲滅実現は

NEWSポストセブン / 2021年9月5日 7時5分

1.3兆円もの寄付が集まった背景は?

 中国の習近平国家主席が、所得の規制や再分配などの「共同富裕」の実現に向けた概要を示し、国内の富裕層に警告を発したところ、10日も経たないうちに、中国の大手ハイテク企業を中心にすでに日本円にして1兆3000億円も寄付金が集まっていることが明らかになった。

 中国ネット通販最大手のアリババ集団が本社を置く浙江省杭州市のトップ、周江勇・中国共産党杭州市委員会書記がアリババ集団との癒着を疑われて、失脚するなど、中国当局によるハイテク企業への締め付けが厳しくなっているためとみられる。ネット上では「億万長者の企業家たちは、自分もその対象になるのではないかと戦々恐々としているようだ」との声も上がっている。

 中国国営の新華社通信によると、中国共産党中央財経委員会は8月17日、高所得の企業や個人に対して、その資産を適度に社会に還元すべきだとの趣旨の方針を打ち出した。

 習氏は2012年秋に党総書記に就任して以降、貧困地区を地方視察をするたびに「共産党は貧困撲滅と『小康社会(適度にゆとりのある社会)』の実現を最優先している」と強調してきたものの、中国の所得格差は年々、拡大するばかりだった。上位20%が下位20%の所得の10倍以上の資産を保有、さらに、上位10%の富裕層が中国の総資産の63%を独占しているとの統計も出ている。

 このような富のアンバランスを是正しようと、習氏は最近、多くの資産家を輩出してきた国内ハイテク産業に対する締め付けを強化。著名な実業家らをもてはやす風潮の行き過ぎも批判している。

 とくに、中国当局はアリババ集団の子会社の株式上場にストップをかけたり、独占禁止法違反の名目で日本円にして約7800億円もの史上最大の罰金を科したほか、米国の証券取引所に上場した他のハイテク企業にも多額の罰金を命じるなど圧力を強めている。

 このようななか、「中国のスティーブ・ジョブズ(アップル創始者)」と呼ばれる、中国のスマートフォーンメーカー、小米(シャオミー)創始者の雷軍氏ら7人の億万長者が計50億ドル(約5500億円)を寄付した。これは2020年の中国全土の慈善寄付金総額より20%多いという。

 一方、これとは別に、やはりインターネットサービス最大手のテンセントの創始者である馬化騰(ポニー・マー)氏が8月26日、習氏の提唱する「共同富裕プロジェクト」に500億元(約8000億円)を寄付すると発表するなど、多くのハイテク企業大手経営者が慈善事業に乗り出している。

 これについて、香港不動産仲介大手である中原地産(センタライン・プロパティーズ)の施永青会長はブルームバーグ通信社の取材に対して、「『共同富裕』は結果的に『共同貧困』になるかもしれない」と指摘。その理由について、「中国共産党政権は初期に農村で生産物を平等に分けるという『人民公社』や『大釜飯』といった政策をとったが、それだと、働いても働かなくても収入は同じということになり、だれも努力しなくなった。その結果、努力しない人が増えて、最終的に経済成長が止まってしまったからだ」との皮肉な見方を明らかにしている。

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