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韓国政治の“新世代”野党代表・李俊錫氏が「恨」の対日関係を変えるか

NEWSポストセブン / 2021年9月7日 16時5分

 そしてとりわけ、二度とIMF危機のような屈辱を味わわないために、英語教育とIT教育を強化して人材のグローバル化を推し進めたことは高く評価できる。これはその後の韓国にとって極めて大きな功績であり、それが今や1人あたりGDPで日本に追いつき、追い越そうとしている経済の最大の原動力になったと思う。

 当時、李代表は13歳前後。この金大中改革の“洗礼”を受けた“申し子”のようなものである。彼ら韓国の「ミレニアル世代」(1980~1995年に生まれた世代)と次の「Z世代」(1996~2015年に生まれた世代)は、英語とITを懸命に勉強し、世界に打って出ようとしている。

 李代表らの新世代はグローバル思考で柔軟な発想ができるから、古い世代の理念闘争の影響をあまり受けていないと思う。したがって、日本については教えてもらう「先生」でもなければ「恨(ハン)」の対象でもなく、単なる隣の大きなマーケットだと考えているのではないだろうか。

日本側で渡り合える人物は?

 日韓関係は慰安婦問題、徴用工問題、竹島問題、火器管制レーダー照射問題などで長く停滞し、文在寅政権の反日的な政策によっていっそう冷え込んでいる。

 だが、過去の歴史にとらわれない李代表なら、ニュートラルなスタンスで新しい日韓関係を定義できるはずだ。実際、朝日新聞(7月16日付)のインタビューで「若い世代は前向きな行動が取れると思う」と話している。多くの若者にとって今の韓国は、就職率・就労率が低くて労働環境も劣悪な「ヘル(地獄)コリア」だ。日本と異なり、若者の多くは自国を嫌って海外に出たがっている。李代表はそういう若い世代の声を代弁する受け皿になって支持を集め、“賞味期限”が切れなければ2027年の大統領選挙で最有力候補になると思う。

 一方、日本には李代表と対等に渡り合えそうな政治家が見当たらない。英語が不得意で6月のG7サミットでも各国首脳とコミュニケーションがとれず蚊帳の外だった菅義偉首相では、到底無理だ。年齢も李代表の倍の72歳である。

 次期首相候補として名前が挙がっている中で最も若いのは40歳の小泉進次郎環境相だが、今のところ実に浅薄な“ポエム大臣”でしかない。河野太郎行政改革・ワクチン担当相は、英語は話せても58歳だし、新型コロナワクチン供給で“加減乗除”さえできないような能力には疑問符を付けざるを得ない。岸田文雄前政調会長と石破茂元幹事長は64歳、ハーバード大学の公共政策大学院ケネディスクール出身でマッキンゼーにもいた茂木敏充外相は、もう65歳である。

 起業家出身で若手の元榮太一郎参議院議員あたりなら経歴から見て李代表と話が合うかもしれないが、彼もすでに46歳だ。日本は真剣に政界の世代交代を進めて若い優秀なリーダーを生み出さなければ、韓国はもとより世界から相手にされなくなってしまうだろう。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は『世界の潮流2021~22』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』等、著書多数。

※週刊ポスト2021年9月17・24日号

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