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歯周病治療の誤解 「除菌さえすればOK」「1日で治ります」は本当か?

NEWSポストセブン / 2021年9月27日 19時5分

口腔内には約700種の「常在菌」が存在

 日本人が歯を失う原因を調べた最新調査で、トップだったのが「歯周病」。全体の約4割を占めていた(8020推進財団調べ)。サイレントキラーの異名を持つ歯周病は、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行する。そして気づいた時には、治療しても完治できないケースが多い。

 歯周病が手強い理由を、元東北大学臨床教授で弘岡歯科医院(スウェーデンデンタルセンター)院長の弘岡秀明氏に聞いた。

「歯周病の原因となるのは、バイオフィルム(デンタルプラーク)という細菌の膜です。これが歯と歯肉の境目や歯周ポケットに付着して、細菌の毒素が炎症を起こす。歯周病の初期段階である『歯肉炎』で適切な処置をすれば、完治させるのは難しくありません。しかし、進行して『歯周炎』になると、歯を支えている歯槽骨が吸収(消失)されてしまい、良くても現状維持、最悪は抜歯です」

 歯周病で歯を失わないためには、「歯肉炎」の段階で見つけて適切な治療を受ける、早期発見・早期治療が肝心なのだという。

 だが、近年はあやしい情報や治療法も氾濫する。そこで注意すべき「罠」を挙げておきたい。

口腔内の除菌で歯周病が治る?

 別掲の画像は、口腔内から採取した「細菌」を位相差顕微鏡で撮影したものだ。

 採取したばかりの「細菌」は、活発にうごめいている。自分の口にいる無数の「細菌」を初めて見た患者は、強い衝撃を受けるはずだ。筆者も、口腔内の細菌を見た時の驚きは、今でも忘れられない。

 一部のクリニックでは、口腔内の細菌を「除菌」する、独自の歯周病治療を宣伝している。特別な「除菌水」などを使うと、無数にいた口腔内の細菌が見事に激減してしまうのだ。

 大半の患者は位相差顕微鏡で、「除菌」の効果を目の当たりにすると、高額な治療費も惜しくないと思うらしい。だが、本当にそんな簡単に治るのだろうか?

「口腔内には約700種類の常在菌がいて、歯周病菌以外に良い菌もいます。『除菌』で細菌を一掃しても効果は短時間だけで、口腔内の細菌は元通りになるでしょう。つまり『除菌』だけで歯周病を治すのは無理です」(弘岡氏)

凄腕の歯医者なら1日で治せる?

 歯周病治療の広告を出しているクリニックの中には、たった1日で治せると宣伝しているところもある。軽度の歯周病治療が20万円台、重度は40万円台という強気の費用設定だ。患者は、高い治療技術を持った“名医”だから、治療費も高いのだろうと想像するかもしれない。

 だが、自由診療の場合は、経営者の歯科医が勝手に治療費を設定できるので、必ずしもスキルとの相関性はない。

 そもそも、たった1日の治療で歯周病を治すことは可能だろうか?

「歯周病を治すためには、クリニックで受けるメインテナンスと同じくらい、患者自身が毎日行なうセルフケアが重要です。患者が歯周病になったのは、セルフケアに問題があったと考えられますので、その根本原因を解決する必要性があります。

 たとえ、そのクリニックで時間とお金をかけて治療を受けたとしても、患者のセルフケアが不適切であれば、歯周病の再発は避けられません」(弘岡氏)

レポート/岩澤倫彦(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2021年10月8日号

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