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進化する「スマート農業」 AIで生育データ管理、無人トラクターが走る

NEWSポストセブン / 2021年10月22日 7時5分

ドローンから送信される稲の生育データをスマホで閲覧する農家も(写真提供/オプティム)

 空にはドローンが舞い、地上では無人トラクターが滑走する───そんな田んぼ風景はすでに現実のものとなった。経験と勘だけが頼りの米作りから、今や観測データをベースとしたスマート農業が始まっている。

スマート化推進で米作りのお悩み解決

 水田の脇に立つ米農家が手にしているのは、スマートフォンやタブレット。ドローンから送信される稲の生育データをスマホのアプリ上で閲覧し、無人トラクターはタブレット上で動線を設計する。これらが「スマート農業」の一例だ。

 なにしろ、米作りのスマート化推進には、米農家の未来がかかっている。少子高齢化で農家の跡継ぎが不足し、耕作放棄地は増えるばかり。新潟・魚沼産コシヒカリを頂点とした米のピラミッド構造はすでに崩壊し、品種と産地に加え米自身の商品力に磨きをかけなければ売上は伸びない時代となった。

「農業従事者が減った分、生産者各々が管理する田んぼ面積は増え、米作が大規模化しています。今の農業経営で大切なのは、農作業の効率を上げ、付加価値を高めた米を作ること」

 こう語るのは、(株)オプティムの大澤淳氏。オプティムはソフトウェア開発が主力ながら、米の栽培から商品化まで担う異種事業を手掛けている。

 提携する米農家は、まずスマホで操作するドローンを無償貸与される。ドローンを使う大きなメリットは2つ。ひとつは、俯瞰での観測データをAIが搭載された管理システムで解析し、満遍なく生育度合をチェックできること。もうひとつは、肥料や農薬のピンポイント散布だ。従来の一般的な農薬散布ドローンは、飛翔位置を指定しても状況によって約2メートルの誤差が出たり、手動飛行で操縦者のスキルに左右されたり、と問題を抱えていた。

「誤差が大きいと、他人の圃場(ほじょう)など意図しない所に農薬が落ちる」(大澤氏)

 オプティムは、自社のAIシステムと、高精度測位システムを実装したドローンとを連携させた。位置設定の誤差は2センチ以内となり、以前なら畑全体に撒いていた肥料や農薬を必要箇所のみ散布。コスト削減と商品価値の向上に繋げている。提携農家が収穫した米は全量をオプティムが買い上げ、出自も育ちも保証する独自ブランド「スマート米」として流通に乗せていく。2021年の新米も、売上は好調だという。

最新鋭の農機具は操作性が飛躍的に向上

 ドローンのような新規参入マシンだけでなく、従来のトラクターや田植機にもスマート化の波は押し寄せている。パネル方式で作業を設定できる機種が増え、自動運転と合わせて未熟練者でも操作しやすくなった。タブレットやリモコンで遠隔操作できる無人マシンは、1人で2台を同時に操り、生産性が大幅にアップ。自動運転は夜間の稼働も可能で、多忙な収穫期の深夜に無人コンバインを黙々と走らせる風景が秋の風物詩となる日もそう遠くない。

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