新たな電子手形サービス開始で手形ペーパーレス化急激進行か

NEWSポストセブン / 2013年2月19日 7時0分

 2013年3月期決算で、3メガバンクグループは従来予想を大きく上回る好業績を叩き出す見通しだが、他の多くの日本企業がそうであるように、「生き残るためのビジネスモデル」を確立したわけではない。金融ジャーナリストの森岡英樹とジャーナリストの永井隆の両氏が、メガバンクの新たな取り組みの1つ「電子手形」について解説する。

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 紙の手形に代わる「電子手形」(電手)の利用企業は、2012年10月末で約5万社となり、債権残高は1兆円を超えた。いずれも1年前と比べ、2倍以上に拡大した。この電手を初めて商品化したのは三菱東京UFJ銀行。2009年にサービスが開始され、食品大手のカゴメを皮切りにトヨタやホンダ、サントリーなども相次ぎ導入している。

 「貸し出し需要が減っているという問題に直面し、ビジネスチャンスそのものを作る必要がありました。従来の手形と違って、企業にとって電手は様々なコストがかからなくなります。そのことで企業の間で資金が回り、結果として投資意欲の向上につながればいいと考えています」

 と同行の眞田茂春・法人企画部企画グループ次長は語る。電子手形の仕組みを山田直人・同電子債権戦略室次長が説明する。

「基本的には従来の紙の手形と同じで、例えばA社が下請けのB社に後日の支払いを約束する電手を渡します。B社は手形の期日になると現金化できます。電手はそうした企業間のお金のやり取りをデータで行なうため、印紙代や管理コスト・事務コストの削減につながります」

 紙の手形は紛失・盗難リスクがあり、中小企業にとっては管理に多くのコストがかかっていた。それをカットできるというわけだ。

「B社は、紙の手形と違って電手の額面の一部だけを割引(期日前に利息を払って現金化すること)できるため流動性が高く資金繰りがしやすい。紙の手形で問題になっていた二重譲渡のリスクもありません」(山田氏)

 三菱東京UFJは地銀41行と提携しており、全国的に同じサービスを受けられる。他の2メガバンクもほぼ同様のサービスで追随したが、先行した三菱東京UFJのシェアは6割に達するという。

 近く、全国銀行協会が運営する電子手形サービス「でんさいネット」も立ち上がる。こちらにはメガバンクを含む銀行、地銀や信用金庫など全国1300に及ぶ金融機関が参加。手形のペーパーレス化が一気に進む可能性は高い。

※SAPIO2013年3月号

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