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旅番組ナレーターに向いてなかった知性派女優を女性作家指摘

NEWSポストセブン / 2013年2月12日 16時0分

 ネット社会といわれるようになっても、テレビの影響力はまだまだ大きい。画面を通じて感じた違和感は一瞬でも、記憶から簡単には消えない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 旅番組で、濃い化粧でお風呂に入り黄色い裏声を響かせる元アイドルを見ると、旅の癒し気分が吹っ飛んでしまう。そんな意見をコラムに書いたら……「これ、わかるわ」「元アイドルの入浴シーンを映せばいいってものではない。由美かおるなら別だけど(笑)」などと、いろいろな方に共感いただいたもようです。

 が、もう一つ言いたいことが。旅番組を生かしも殺しもするのが、「ナレーション」ではないか、ということです。

 振り返れば、テレビの旅番組もいろいろな変遷を重ねてきました。名所旧跡の紹介、『シルクロード』のような紀行物。そして今でも料理と宿泊施設の紹介は定番スタイルです。

 しかし2005年、旅番組の新境地を開く、画期的なコンテンツが登場しました。『世界ふれあい街歩き』(NHK)です。

 まるで自分自身が異国へ行ったような感覚に包まれる。知らない街を一人で散策しているかのような疑似体験ができる。その撮影方法は、従来の旅番組とはひと味違っていました。

 カメラは、旅人の目の高さの位置。そのまま路地や狭い通路をずんずん入っていく。旅人も、取材者も、画面にいっさい映りこまない。

 名所旧跡やホテルの紹介ではなく、誰かの家にあがりこんだり、道ばたの猫をなでてみたり。偶然が作り出す旅の面白さ、リアルさが満載。旅の途上で、現地の人とささやかな会話を交わす楽しさも。

 番組内では、ナレーターがあたかも旅人になり、現地の人と話しているかのように語ります。工夫された音声編集スタイルも、秀逸です。

 だからこそ、ナレーターは高度な技量が求められる。台本通りに語ればいい、というわけには決していかない。ライブ感、その場のやりとり感覚、ウイットな言葉。桂文珍、矢崎滋といった定番ナレーターたちの腕にはほれぼれしてしまいます。

『世界ふれあい街歩き』が登場した際、斬新な手法には、一気に注目と人気が集まりました。その後は続々と、他局でも似たような番組が増えました。でも、ただ真似しているわけにもいかない。「違い」を出そうと焦るあまり、妙な演出に走った番組もあるように思います。

 たとえば、『トラベリックス~世界体感旅行』(BS日テレ)。やはり、異国の路地をカメラを持って巡るスタイル。ナレーターの本上まなみは……黄色い声をはりあげてしゃべる。

「あれえ、味はとても甘いんだぁ~」
「うわぁ、なんてこんなにきれいなのぉ~」

 異様に語尾を伸ばし、大げさで甘えるような声。何だか幼稚園児扱いされている。そう思うと、一気に旅気分が壊れてしまう。異国の風景、空気感、路地。旅に浸れるようなナレーションが聞きたいのに。今は代役・鈴木杏樹さんに変わり、少し大人ぶりを取り戻したようですが。

 振り返れば、旅番組のメルクマールとなった『世界ふれあい街歩き』。大切なことを教えてくれています。見ている人が旅の雰囲気に包まれ、異国を疑似体験できること。心地よく異空間に没入できること。そのためのナレーションは、簡単には真似のできない高度な技が必要ということ。

 大げさな表現や黄色い声をあげたからと言って、土地の良さや空気感が伝わるわけではありません。



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