高級革ジャンに味噌汁をこぼされ価値半減 適切な賠償額は?

NEWSポストセブン / 2013年3月16日 16時0分

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「高価な革ジャンに味噌汁をこぼされ、価値半減。賠償を求めたい」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 寿司屋で店員が私の背中に味噌汁をこぼしました。背中はヤケドを負い、店側は治療費を払うと約束。但し問題は私が着ていた高価な革ジャンで、今回の件により価値が下がりました。店側はお詫びとして1万円は支払うが、それ以上は無理とのこと。この場合、1万円で納得しなければいけませんか。

【回答】
 店員の行為は不法行為であり、店員を雇っていた寿司屋は、使用者責任を負い、客に発生した損害を賠償する責任があります。賠償すべき損害は、不法行為と因果関係があるものでなければなりませんが、合理的な範囲にとどめるため、いろいろな理屈で限定する考えがあります。

 伝統的な考え方は、通常発生する損害が賠償対象となり、特別な損害は予見できた時に賠償されるという考え方です。味噌汁をかければ着衣は汚損することは容易に予見できますし、交通事故でいえばいわゆる物損ですから、革ジャンの汚損が損害であることは間違いありません。

 次にその賠償額ですが、合理的な方法で算定することが必要で、不法行為前の状態を回復するのに一番経済的な方法は何かということになります。もしクリーニングで復元できるのであれば、その料金が買うより高くつくという特別な場合でない限り、損害はクリーニング代です。

 味噌汁がかかった程度で、クリーニングできない場合があるのか不明ですが、価値が下がるという趣旨がクリーニングしても臭いやシミが取れないということであれば、確かに品物として価値が下がっており、その分は損害になりそうです。

 しかし、損害の証明は難しいと思います。なぜなら損害は、事故前の価値と汚れが取れない革ジャンの価値の差額ですが、前者はあなたが使い込んでいるので、通常買値より減価しているはずですし、後者については客観的価値の算定は、中古市場でもない限り証明困難だからです。

 そこでクリーニング屋で、クリーニングの可能性と料金を確認し、ある程度回復できるのであれば、その料金と1万円を比較して、対処を考えればよいと思います。クリーニング代が1万円以上であれば、寿司屋に損害賠償として要求できるでしょう。

※週刊ポスト2013年3月22日号

NEWSポストセブン

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