外貨預金 手数料面で「一般の銀行利用する理由なし」と作家
NEWSポストセブン / 2013年4月30日 7時0分

外貨預金1万ドルを取引した場合の手数料と実質利益
資産運用や人生設計についての多数の著書を持つ作家・橘玲氏が、世界経済の見えない構造的問題を読み解く『マネーポスト』の連載「セカイの仕組み」。アベノミクスが最悪シナリオに向かった場合、財政破綻も想定されるが、それに備える金融商品の例を、橘氏が解説する。
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円安で利益を生む投資戦略で誰もが真っ先に思い浮かべるのが外貨預金や証券会社の外貨MMFだろう。最近ではネット銀行を利用して外貨を売買するひとも増えてきた。
外貨預金をする際のポイントは、為替手数料に敏感になることだ。ここに掲載した図表は1ドル=90円のときに90万円を1万ドルに両替し、1ドル=100円の円安になったので円に戻した際の、金融機関別の手数料と実質利益を表わしたものだ。
グロス(名目)利益は10万円だが、金融機関によってネット(純)利益が大きく異なることがわかるだろう。これを見ると一目瞭然だが、ネット銀行の為替手数料率が大幅に下がったことで、特別な理由がないかぎり、一般の銀行で外貨預金(両替)をする理由はなくなった(ただし、ネット銀行では海外送金できない)。
外貨投資のポイントはどの通貨を保有するかだろうが、長期的には金利のちがいは為替の変動で帳消しになって損も得もなくなるはずなので、金利の高い通貨を選ぶことには意味がない。
世界金融危機以降、ドル、ポンド、ユーロなどの主要通貨の金利が軒並み下がったため、いまや高金利通貨は豪ドル、ニュージーランドドルか、ブラジルレアル、トルコリラなどの新興国通貨だけになってしまった。こうした流通量の少ないマイナー通貨は、米ドルに比べて為替手数料がかなり割高なことにも注意が必要だ。
通貨の価値は相対的なものだから、すべての通貨が一斉に価値を失うことはあり得ない。基軸通貨は米ドルなので、日本円といっしょに米ドルも下落する(ユーロやポンドだけが一方的に上昇する)シナリオは考えにくく、円安による円資産の価値の減少に保険をかけるとしたら、為替コストの安い米ドルを保有するのが第一選択肢になるだろう。
【プロフィール】
●たちばな・あきら:1959年生まれ。作家。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』など著書多数。財政破綻に備える資産運用の詳細は新刊『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』を参照。
(連載「セカイの仕組み」より抜粋)
※マネーポスト2013年春号
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