生活保護「申請に来た」と断言しないと追い返されると事情通

NEWSポストセブン / 2013年3月24日 16時0分

 なにかと話題になる生活保護制度。不正受給の問題もあれば、制度見直しは弱者の切り捨てにつながると指摘する人もいる。保護費の受給は困難と言われるが、「生活保護申請のサポート」をしている人物が現れた。どういうことなのか、話を聞いた。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

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 この男性は都内で不動産業を営むAさん。50代前半でごま塩頭のひょうひょうとした雰囲気だ。Aさんは今まで生活保護を申請者にアドバイスすることおよそ100人、打率10割近くの成績で受給に成功しているという。そもそもなぜそんなことをしているのか、Aさんが手がける不動産物件と関係がある。

 Aさんが手がけているのは「競売物件」だ。たとえばローンが支払えず銀行から差し押さえを食らって競売に出された一軒家やマンションを安く落札し、リフォームして高く転売する。しかし、なかには元の所有者が「占有者」として、自宅にそのまま住んでいるときがある。出て行ってもらおうにも、自宅が差し押さえられるまで困窮していた元の所有者に、転居できるカネもない。そこでAさんは退出させる手段として、生活保護を利用することを思いついた。

「昔は占有者の方に立ち退き料をお支払いしていたんですが、物件の落札価格が上昇してきて、立ち退き料を払っては元がとれなくなってきました。そんなときに生活保護を受給すれば『引っ越し代』も出ると知り、15年くらい前からサポートするようになりました。困ってる人を福祉に押しつけちゃってる気もしますし、褒められる行為ではないとはわかっています。でも、『使い方を知っている人間だけが得をする制度』って、やっぱり不平等な気がするんですよ。私がサポートしているのは本当に困窮していて、強制執行に来た執行官から『福祉の世話になりなさい』って諭されるような人たちなんです。私自身はサポートすることでコミッションなど一切取っていないので、そこはお許しいただけたい」

 そういってちょっと拝むような仕草をして、Aさんはこれまで見てきた生活保護申請の現場について語り出した。

「生活保護というのは受給することが難しいというイメージがあるかもしれません。たしかに数年前まではそうでしたが、最近は甘くなっていたんですよ。これからまた厳しくなるかもしれませんが。自治体や担当者によって使い勝手がずいぶん違う制度なんです。自治体でいえば、財政的に余裕があるからでしようか、東京23区は比較的申請が通りやすい。逆に経験的に埼玉県の越谷市は、なかなか通りにくいと思います。直接拒否するわけではないんですが、動きが遅い。執行官の方も『あそこはシブイ』と言っていました」

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