元No.1ビール売り子のキリン社員 一番搾りを「彼」と表現

NEWSポストセブン / 2013年4月2日 7時0分

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「お客さんに喜んでもらえる仕掛けづくりは楽しい」と田代さん

 キリンビールの『一番搾り』といえば、1990年の発売以降、多くの“ビール党”に愛飲されてきた同社の看板商品のひとつ。そのブランディングの一切を取り仕切るマーケティング部の主力メンバーに、20代の若き女性がいる。

「私の仕事は“彼”がこれから20年、30年も今と同じステータスで生きていけるような土台を築くこと。そのためには、歴史を受け継ぐだけではダメで、いかに現代とマッチングさせていくかも重要なんです」

 2006年入社の田代美帆さん(29)。主に担当する『一番搾り』を「彼」と表現するあたり、自社商品に対する愛着の深さがうかがえる。彼女自身もかなりのビール通、はたまたビール会社の社員だけに酒豪なのかと思いきや、意外にもジョッキ数杯を飲むのが精一杯だと打ち明ける。

 だが、ビールは人々のコミュニケーションが生まれるきっかけづくりには最適。そのことを地元・福岡で過ごした学生時代から実感していたという。実は田代さんは福岡ドーム内で野球観戦客にビールを販売する“売り子”だった。しかも、ナンバーワンの売り上げを記録したこともある。

「シラフで来たお客さんがビールを飲みながら観戦していると、いつの間にか周囲の人たちと一致団結して応援する雰囲気になる。ビールは生活必需品ではないけれど、あれば生活に潤いをもたらしてくれる。お客さんの幸せに通ずる大切な商品だと思いました。あっ、私の売り上げが良かったのは、試合後にホークスの応援団と飲みに行ったりして常連客をたくさん掴んでいたから。単に営業活動の成果ですよ(笑い)」

 そんな田代さんがビール会社に入社したのは、いわば自然の流れだったともいえる。1年間、神戸にて営業を経験した後、現在のマーケティング部に配属された。入社2年目にして主力ブランドの戦略立案に携われることなど、競合他社では考えられない人事だ。もちろん、キリンが若手社員に多くのチャレンジ機会を与えている証左ではあるが、田代さんの仕事に対する情熱が見込まれての抜擢だったことも間違いない。

 会社の期待に応えるように、田代さんは上司に臆することなく積極的に意見し、提案もする。特に若年層のビール離れは業界全体に突き付けられた課題。田代さんもどうしたら若者たちがビールを手に取ってくれるのか、日々、頭を悩ませている。そこで、ふと浮かんできたのが、『スターバックス』の人気ぶりだった。

「昔は缶コーヒーだって若い人たちは好きじゃなかったのに、スタバが日本に進出して以降、プラカップを手に街中で飲み歩くという新しいコーヒースタイルを提案したことで、一気にカテゴリーが若返りましたよね。ならば、ビールもオシャレな飲み方提案をして、サラリーマンが居酒屋でジョッキを煽るみたいなスタイルから脱却しなければならないと思ったんです」

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