映画館が歌舞伎やオペラや舞台を「隙間上映」している事情

NEWSポストセブン / 2013年4月14日 7時0分

 今月、新装開場した歌舞伎座。こけら落とし公演は盛況で、客足は改築前の3~4倍に伸びているという。新生歌舞伎座のお目見えとともに人気に湧く歌舞伎だが、歌舞伎座に足を運ばなくとも、いま、映画館で歌舞伎が楽しめることをご存じだろうか。歌舞伎に限らず、オペラやバレエ、音楽ライブや舞台など、映画館で“映画以外”の上映が広がっている。

 松竹が、歌舞伎を映画館で上映する「シネマ歌舞伎」を始めたのは、2005年。年々、上映ラインナップと上映館を増やし、毎月演目が変わる「月イチ歌舞伎」は、現在全国の27映画館で上映されている。チケット代は演目ごとに異なるが、歌舞伎座新開場こけら落とし記念上映は2000円。一等席20000円、一番安い三階B席で4000円の歌舞伎座と比べると、割安だ。
 
 月イチ歌舞伎のファンだという40代の女性は言う。

「歌舞伎座に行く特別感はありませんが、気軽なのがいいですね。料金が安いから、初心者におすすめです。でも、一度見た演目でも、カメラワークによって、舞台では目視できない役者さんの表情や汗が見られたりと、新たな発見があるんです。私の友人は日本舞踊を習っていて、踊りの研究のために、シネマ歌舞伎を利用しています。マニアにもいいんですよ」

 松竹はシネマ歌舞伎のほかに、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のオペラ公演を映画館で上映する「METライブビューイング」を手掛ける。オペラを格安で楽しめるだけではなく、バックステージや歌手のインタビューを幕間に上映するなど、映像ならではのプラスアルファを打ち出している。

 音楽ライブやコンサート、スポーツ中継など、映画館での映画以外の上映は、一般にライブビューイングや「ODS(非映画コンテンツ)」と言われる。急に始まった動きではないが、昨今、映画館のデジタル化が進むことで上映館が拡大し、注目を集めている。

 2011年にはアミューズが、ライブビューイングを配信する「ライブ・ビューイング・ジャパン」を設立。ももクロや私立恵比寿中学などのアイドルコンサートから、野田秀樹・三谷幸喜の舞台まで、多彩なコンテンツの配信を始めている。全国に60ほどの劇場を展開するワーナー・マイカル・シネマズは、映画以外の作品の上映を「シアタス」と名付け、昨年、国内初となる英国ロイヤル・バレエ団の上映を行うなど、コンテンツの充実に力を入れている。

 こうした状況の背景には、厳しい業界事情があるようだ。映画評論家の野村正昭氏はこう指摘する。

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