修理業者がコーヒーこぼしてPCデータ消失 賠償求められるか

NEWSポストセブン / 2013年4月22日 7時1分

「修理を依頼したパソコンが、業者の不手際で重要なデータ類を失った。賠償を負わせたい」――果たしてそれは可能なのか? 弁護士が回答する。

【質問】
 デザイン会社を営んでいます。先日、パソコンが故障したため業者に修理を依頼したのですが、その業者がコーヒーをハードディスク本体にぶちまけ重要なデータ類が飛びました。バックアップを取っていなかった、こちらにも責任はありますが、業者にも賠償を負わせたい場合、どうすればよいですか。

【回答】
 パソコン修理業者がコーヒーをハードディスク本体にぶちまけ壊したことが、業者の責任であることは間違いありません。問題はその責任の範囲です。

 あなたからパソコンの修理を請け負った業者は、その仕事を完成させる義務があります。不可抗力以外に、約束した仕事を果たせなかった責任である債務不履行責任は免れません。

 コーヒーのぶちまけは明らかに過失ですから、この債務不履行責任があります。その場合、これによって発生した損害を賠償する義務があることは当然で、ここまでは業者も認めているのでしょう。つまり、パソコン本体の物の価値相当の損害賠償責任は否定しないはずです。

 データが飛んでしまったことによる損害は、その程度は別にして、当然に業者の責任かは議論があり得るところです。債務不履行による損害賠償の責任の範囲は、民法で原則として通常予見できる範囲のものに限られ、それ以外の特別な事情によって生じた損害の場合には、その事情が予見できた時には、賠償責任の範囲に含まれるとされているからです。

 さて、使用中のパソコン修理の場合、通常はソコにデータが入っているのが当たり前です。そうすると修理作業に不手際があれば、データが毀損することも予見できる範囲内です。そうであるなら、業者のデータ毀損は責任範囲といえると思います。

 しかし、業者は事前にデータのバックアップを求めるのが一般的です。契約書や注文請書にそうした表記がありませんでしたか。もし、バックアップを求められているのに、あなたが取っていなければ、責任追及は無理です。もっとも、データが飛んだ損害をどのように算定するかは難しいところです。

 解決の道筋がつかないようなら、簡易裁判所に民事調停を起こし、話し合ってみたらいかがですか。

●竹下正己/1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2013年5月3・10日号

NEWSポストセブン

トピックスRSS

ランキング