近藤勇と龍馬が友人の大河ドラマ「設定」はデタラメではない

NEWSポストセブン / 2013年4月28日 16時0分

 NHKの大河ドラマの新シリーズが放映されると、必ず「事実と違う」と指摘される点がでてくる。しかし、一見、突拍子もないようにうつるドラマの「設定」も、実はデタラメとは言い切れない。みずから歴史番組の構成と司会を務める編集者・ライターの安田清人氏が解説する。

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 NHK大河ドラマを見たのがきっかけで、歴史が好きになったという人は多い。よくよく聞くと、専門の歴史学者にも、その手の元歴史少年(少女)が少なくない。

 だからこそだろう。大河ドラマは「フィクションを描いてはいけない」という意見をよく目にする。しかし、歴史上の人物のすべての行動、発言、人間関係、思想がわかるはずがないのは、いまさら言うまでもない。あらゆる歴史書や記録に目を通しても、どんな歴史学者に学ぼうと、フィクション抜きにドラマを描くことは不可能なのだ。

 しかし、天下のNHK、天下の「大河ドラマ」なのだから、できるだけウソは描かないで欲しいというのは理解できる。制作者側もそれは十分に理解していて、歴史上の人物が「いつ、どこで、何をしたか」という確定的な事実はできるだけいじらない。

 ただし、どこで何をしていたのか確定できない部分、いわゆる史実の隙間に創作を盛り込んで、ドラマとしての独自性を打ち出したいと、〈篤姫〉や〈新選組!〉を担当したプロデューサーの屋敷陽太郎さんは折に触れ語っている。

 平成16年(2004)に放送の〈新選組!〉は、香取慎吾演じる主人公の近藤勇が、実は京都に上る前から坂本龍馬と親しい友人だったという「設定」だった。これはもちろんフィクションだが、いち早く新聞、雑誌などがこの「設定」に反応し、さまざま識者が「史実と違う」と発言したためか、〈新選組!〉には史実をないがしろにするデタラメなドラマだというイメージがついてしまった。

 確かに近藤と龍馬が友人だったことを示す資料や記録はない。しかし両者に接点はなかったのか、知り合いであった可能性は本当にゼロなのか。

 新選組は、幕府が浪士を集めて作った特殊部隊。その母体となった浪士組の結成に当たり、幕府は江戸の剣術道場などで名を挙げていた志士たちをリストアップし、浪士組への参加を募っていた。

 そのリストには、平野国臣(くにおみ)や真木和泉(まきいずみ)、久坂玄瑞(くさかげんずい)といった尊王攘夷派の志士たちと並び、坂本龍馬の名前も挙がっていた。

 この事実を指摘したのは、〈新選組!〉の時代考証に「資料提供」という形で参加した歴史学者の三野行徳(みのゆきのり)さんだった。

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