嗅覚を刺激し本能を激しく揺さぶるCM 女性作家が是非を論考

NEWSポストセブン / 2013年5月8日 16時0分

 何気なく目に飛び込んでくる映像に込められた作り手の意図、その効果とは——。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が話題のCMを分析した。

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 たった15秒の中で、商品をよりリアルに、印象的に表現するためにはどうしたらよいのか?

 テレビCMは当然のことながら、「視覚」——目からの情報と、「聴覚」——耳からの情報で成り立っています。私たち情報の受け手が、「視聴者」と呼ばれるゆえんもそこにあります。

 でも、視覚と聴覚の2つの感覚に働きかけるだけでは足りないのではないか——CM作りに頭を悩ませる広告制作者の人々は、視聴者の「五感」をいかに揺さぶることができるのか、四苦八苦しながら工夫を重ねているようです。

 もろちん、テレビから実際の「匂い」が漂ってくるわけではありません。それなのに、「匂い」を感じてしまうような、あるいは感じたくなるような仕掛けのCMが次々に登場しています。

 そこで、「嗅覚」の趣向を凝らした話題のCMを3本、ピックアップ。

■「香りが見える」ジョージアの『エメラルドマウンテン ブラック』

 缶を開けた瞬間、ポワンとした煙が立ちのぼる。「香りが見える」というキャッチコピーの缶コーヒーCM。えっ? どういうこと? 香りが見えるなんて本当? 半信半疑。自分の目で見て、確かめたい。実際に買ってきて実験してみたくなるところがミソです。

  その仕掛けは、商品ウエブサイトの説明によれば「アルミ陽圧缶」を使い、内気圧が外気圧よりも高い状態にしているために香りが素早く広がる、ということらしい。で、なぜ「香りが見える」のか、今一つメカニズムがのみこめません。実際に試してみたところ、何だか「もやっ」程度のなにかが見えたのか見えなかったのか……?

 定かではない。けれど、とにかくおもしろい。「香り」という見えないものを「見える化する」というコンセプトの勝利。視覚×嗅覚という二つの違う感覚を掛け合わせたあたりも、実にユニーク。私たちの体に直接、語りかけてくるCM、と言えるでしょう。

■におう男が、におわない男に変身する『デ・オウ』

 水しぶきの中から登場してくる裸の伊藤英明。鍛え抜かれた上半身を、ボディソープで豪快に洗う。そして一言、「におわない」とつぶやく。

 ロート製薬から新登場の男性向けケアブランド『デ・オウ』。男のにおいに立ち向かうボディソープのCMがオンエア中です。水に濡れた筋肉隆々の裸体、脇毛のあたりからはまさしく男の匂いが漂ってきそう。これは逆説的テクニックでは! 視聴者に男の匂いを疑似体験させつつ、「におわない」男になるというローションを宣伝している。

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