近藤正臣が歴史上の人物演じると従来イメージと大きく変わる

NEWSポストセブン / 2013年5月11日 7時1分

 俳優・近藤正臣は約40年前、テレビドラマ『柔道一直線』で主人公のライバル役を演じて一躍人気者となった。その後、数多くのドラマ、映画、舞台に出演。クールな二枚目、コミカルな三枚目、エキセントリックなドラッグクイーン役など、どんな役も深みのある演技で観るものを魅了し続けている。「大奥 第一章」(6月大阪松竹座、7月博多座)に出演する近藤が歴史上の人物を演じるときの秘密に、時代劇研究家の春日太一氏がせまった。

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 近藤正臣は2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』で土佐藩主・山内容堂に扮している。異形ともいえる白髪で主人公たちの前に立ちはだかるその様は、多くの視聴者に衝撃を与えた。他にも若い頃に出演した『国盗り物語』(1973年)の明智光秀役など、大河ドラマには数多く出演、その度に熱演をみせている。

「プロデューサーや監督との話し合いで、こちらは勝手にいろんなことを提案します。『通る通らないはそちらの裁量ですが、私にはこのくらいのアイディアがあります。そちらはどのくらいお持ちですか』とぶつけていきながら決まっていきますね。

 容堂に関しては、それを少し激しめにやったということです。はなから年齢不明の男でいこうと思っていました。とにかく酒をくらってばかりいる男だけど、それだけでは面白くないから、それなら何をして遊べるかを考えました。ここは杯でただ飲むんじゃなくて、長崎の切子のグラスを使ってオンザロックだな、とか。殿様って何をしてもいいんだっていうのを出したくて。

 明智光秀はサラリーマンにしようと思いました。こいつは悪い奴なのか、なぜ信長を殺したのか─そこに至る行動をいろいろ考えているうちにね。出世するんだけど、社長がワンマンで酷い奴だから、だんだんと我慢できなくなってくる。でも、そこを辛抱する。忠義じゃなくて、そうやって自分を守り、家族を守るしかない。そういう男として突っ走ろうと思ったんです」

 近藤が歴史上の人物を演じると、従来のイメージが大きく変わることが多い。嫌味なエリートのイメージが強かった石田三成は熱血漢に(『黄金の日日』)、冷血な土方歳三はロマンティストに(『白虎隊』)、知的な学者の北畠親房は権謀家に(『太平記』)。豪放磊落なイメージを一変させた山内容堂は、最たるものだ。

「世間に流布されているイメージは伝承しない、もうちょっと言えば裏切りたい。たとえば容堂だと、最初から俺は白髪でいくんですが、本当は三十代なんですよ。そのへんは、もう大嘘をついている。真面目に見ようという人からは疑問が出るに決まっているけど、そこは無視。『時代の妖怪』であればいい」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか。

※週刊ポスト2013年5月24日号

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